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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は3年目の共通テストについて話していこう。

2023年共通テスト

2021年から始まった共通テスト。2022年は2年目ということもあって、予想どおりというか、予想以上に難しいテストだったね。

今年の共通テストまで残す時間も短くなってきたから、共通テストについて思っていることを書いていこうと思う。

2021年・2022年共通テストの比較

2022年の共通テストがとにかく難しかった。先生たちでも時間内に満点を取るのは難しかったんじゃないかってぐらいの問題だった。

その理由に誘導がわかりにくかった点や問題の目指すところ、そのための計算にどんな意味があるのかわかりにくいものも多かった。思考力や表現力を測る問題を目指して作問されたはずなのに、そんな問題にはなっていなかったと思う。だから解くのに余計な時間がかかったのもあると思う。

僕の周りでも、ネットを見ても賛否両論(否の声の方を多く聞いた気がするけど・・・)あった問題だったね。それにしても試験として機能しているのかってぐらい平均点が低すぎた。2年目だからといってもさすがに低すぎだったね。

数学IA 数学ⅡB
2021 57.68 59.93
2022 37.96 43.06

大学入試センターのホームページより抜粋

2023年共通テストについて

難しかった今年の共通テストのことだけ言っててもしょうがないから、来年の共通テストについて話していこう。

共通テストまで残り時間は少ないけど、みんながやっておくべきことって実は去年までと大きく変わらない思う。今年の問題より易しくなると思うけど、みんなは問題の難易度に左右されないように実力をつけておきたい。教科書を読み込んだり、公式の導入とか、まずは基本的なことをきちん確認しておこう。

その辺については1年目2年目の共通テストの前にも記事を書いてるから、そっちも読んでおいてほしい。

CHECK
マーク式
大学入学共通テストに向けた勉強法

共通テストに向けた予想や勉強法、マーク式問題について記事を書いています。

続きを見る

CHECK
2年目の共通テスト
2年目の共通テストについて

2年目の大学入試共通テストに関して思っていることを書いています。

続きを見る

共通テスト対策問題集で演習する

色々な予備校や出版社から共通テスト対策の問題集がたくさん発売されてる。共通テストが始まった初年度にも売ってたんだけど、共通テストの試行テストから予想した問題やセンター試験の過去問を少し改変したような問題が多かった。だから本当に効果的な練習ってできなかったけど、実際共通テストが2年分計4回(初年度は第一日程第二日程、2年目は本試験と追再試験)実施されたことで問題もだいぶ予想できるようになったから、初年度のころに比べれば書店により多くの対策本が売ってるし、内容も充実してきた。これらをうまく利用して点数をあげていこう。










センター試験のときはマーク試験対策をすることによって点数が上がる生徒って本当多かった。受験のテクニックみたいなものを演習しながらマスターして点数が上がる。そんなことがあったと思う。

でも共通テストはセンター試験のときみたいに受験テクニックを使う問題がたくさんあるわけじゃない。だけど、やっぱり演習をこなすことで点数は上がっていく。

問題文を読んで答えを考えていく中で、「その単元にはどんな公式があるか」問題文のヒントは見落としてないか」「どの値が分かったら答えが導けるか」「前問の誘導はヒントになっていないか」とか、問題を解く上で必要なことを考えながら演習をこなそう。単に演習をこなすんじゃなく、演習を思考力を養うような訓練にすること。いろんなことを頭の中できちんと整理して、必要な公式や解法を利用できるようにしよう。

そして演習したあとの復習も必ずきちんとしておこう。できなかった問題の分析はしておきたい。「公式を使えなかった(思いつかなかった)」「問題文の意図が読み取れなかった」「時間が足りなかった」など色々原因があると思う。それを全部つぶしていきなり満点にすることは難しいから、できなかった問題のうち1問でいいからできなかった原因を見つけてつぶすようにしよう。特に「この問題落ち着いてやればできたなって思う問題の原因」を見つけよう。次は絶対できるようにしておきたいからね。

演習!復習!公式のCHECK!

とにかく演習をこなしたい。でもただ解くだけじゃダメ。解いたあとは必ず復習して、出てきた公式や解法をチェックする。できなかった問題についてはもう一度解きなおす。
当たり前のことを丁寧にどれだけやれるかっていうことが本当に大切。残り少なくなった時間でどれだけ質の高い演習ができるか、それが高得点につながることを意識して学習していこう!

まだまだ時間はあるから演習をこなしながら、公式の確認解法の確認単元の整理(どの単元にどの公式が使われているか)など確認しておこう。

point
今日できた問題は明日も出来るし、明後日も出来る。でも今日間違えた問題は、きちんと復習しておかないと同じように(変な考え方をしたりして)間違える。だから必ず復習しておかないといけない。だってテストに出るのはその間違えた問題だからね。

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放物線の基本 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/houbutsusen-kihon/ Fri, 03 Dec 2021 02:04:10 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9591 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は放物線の基本について学習していこう。

二次曲線と放物線

放物線って言われたら、数学Iで学習した「二次関数」を思い浮かべると思うけど、二次関数で学習した放物線は軸が\(\small{ \ y \ }\)軸に平行な放物線だけを学習したよね。

でもこの二次曲線の単元では、軸が\(\small{ \ x \ }\)軸に平行な放物線も学習するんだ。
放物線って言うと物を斜めに投げたときの軌道をイメージすることが多いと思うけど、それ以外の性質を学習していこう。

放物線

焦点\(\small{ \ (p,0) \ }\)、準線\(\small{ \ x=-p \ }\)のとき
\(\small{ \ y^2=4px \ }\)
放物線の性質-01

焦点\(\small{ \ (0,p) \ }\)、準線\(\small{ \ y=-p \ }\)のとき
\(\small{ \ x^2=4py \ }\)
放物線の性質-02

放物線の性質

座標平面上で定点\(\small{ \ \mathrm{F} \ }\)からの距離と、\(\small{ \ \mathrm{F} \ }\)を通らない定直線\(\small{ \ l \ }\)からの距離が等しい点の軌跡放物線になるんだ。

この定直線のことを準線、定点のことを焦点っていうから覚えておこう。

放物線の方程式

\(\small{ \ \mathrm{F}(p,0) \ }\)を焦点、\(\small{ \ x=-p \ }\)を準線としたとき、放物線の方程式を求めてみよう。

放物線上の点を\(\small{ \ \mathrm{P}(x,y) \ }\)として、準線からの距離と、焦点からの距離が等しいから
\(\small{ \ \left|x-(-p)\right|= \sqrt{(x-p)^2+y^2} \ }\)
両辺を二乗して
\(\small{ \ (x+p)^2=(x-p)^2+y^2 \ }\)
これを整理すると、\(\small{ \ y^2=4px \ }\)になる。

放物線の軌跡

この式を放物線の方程式の標準形っていうんだ。軸については二次関数のときにも習ったけど、焦点と準線を含んで説明すると、焦点を通り、準線に垂直な直線がになる。また軸と放物線の交点が頂点になる。

もちろんすでに知ってることだけど、放物線は軸に関して対称だからね。

ちなみに、準線からの距離を\(\small{ \ \left|x-(-p)\right| \ }\)ってしたのは、\(\small{ \ p \ }\)が負の場合は\(\small{ \ x+p \ }\)が負になるから絶対値をとって計算したんだ。

そうすることで、\(\small{ \ p \ }\)が正でも負でもわざわざ場合分けしなくて済むからね。\(\small{ \ p \ }\)の正負によって形が図の様に変わるから覚えておこう。っていっても二次関数のときに上に凸、下に凸で\(\small{ \ x^2 \ }\)の係数の正負が反対になるのは教わっているから理解できるよね。

放物線の性質-01

y軸が軸の放物線

\(\small{ \ y \ }\)軸が軸になる放物線の場合、焦点が\(\small{ \ y \ }\)軸上にあるよね。

焦点を\(\small{ \ (0,p) \ }\)、準線を\(\small{ \ y=-p \ }\)とすると
\(\small{ \ \left|y-(-p)\right|=\sqrt{x^2+(y-p)^2} \ }\)
両辺を二乗して
\(\small{ \ (y+p)^2=x^2+(y-p)^2 \ }\)
これを整理して、\(\small{ \ x^2=4py \ }\)になるよね。

放物線の性質-02

中学生のときに初めて習った二次関数\(\small{ \ y=ax^2 \ }\)は
\(\small{ \ x^2= \displaystyle\frac{y}{a}=4\cdot\displaystyle\frac{1}{4a}y \ }\)になるから、焦点\(\small{ \ \left(0,\displaystyle\frac{1}{4a}\right) \ }\)、準線\(\small{ \ y=-\displaystyle\frac{1}{4a} \ }\)の放物線ってことになるんだ。

平行移動する場合も、準線と焦点も一緒に平行移動してあげればいいよね。そのあたりについては以前学習した二次関数の平行移動で復習しておこう。

CHECK
二次関数のグラフの平行移動-i
二次関数のグラフの平行移動

平方形の移動と一般形の移動について詳しく解説しています。

続きを見る

例題を確認
問題解答

次の条件を満たす点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)の軌跡を求めよ。
(1) \(\small{ \ (2,4) \ }\)と\(\small{ \ x \ }\)軸から等距離にある点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)
(2)\(\small{ \ x \ }\)軸に接し、円\(\small{ \ x^2+(y-5)^2=1 \ }\)に外接する円の中心\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)

(1)\(\small{ \ (2,4) \ }\)と\(\small{ \ x \ }\)軸から等距離にあるから
\(\small{ \ \sqrt{(x-2)^2+(y-4)^2}=\left|y \right| \ }\)
両辺二乗して
\(\small{ \ (x-2)^2+(y-4)^2=y^2 \ }\)
\(\small{ \ y=\displaystyle\frac{1}{8}(x-2)^2+2 \ }\)

(2)外接する二つの円の中心の距離は二つの円の半径の和に等しいから
\(\small{ \ \sqrt{x^2+(y-5)^2}=1+y \ }\)
\(\small{ \ x^2+(y-5)^2=(1+y)^2 \ }\)
\(\small{ \ y=\displaystyle\frac{1}{12}x^2+2 \ }\)

point
軌跡の問題の解き方を覚えてるかな?条件をみたす点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)の座標を\(\small{ \ (x,y) \ }\)とおいて条件式を変形していけばよかったよね。

この二次曲線の単元は「図形と方程式」の延長上にあると思ってもらうといいかな。

数学Ⅱだと軌跡を求めよって問題の答えは、円か直線、放物線だったけど、二次曲線を含めれば、これに楕円、双曲線、\(\small{ \ x \ }\)軸に平行な軸を持つ放物線が加わるからね。

この単元を学習する前に図形と方程式の軌跡を復習しておこう。

放物線の接線の方程式

\(\small{ \ y^2=4px \ }\)上の点\(\small{ \ (x_1,y_1) \ }\)の接線の方程式を考えよう。
\(\small{ \ y^2=4px \ }\)の両辺を\(\small{ \ x \ }\)で微分すると\(\small{ \ 2yy’=4p \ }\)になるよね。
これは陰関数の微分だよね。忘れている人は一度復習しておこう。

CHECK
陰関数・陽関数と陰関数の微分-i
陰関数・陽関数と陰関数の微分

陰関数と陽関数の違いや二次曲線の微分について詳しく解説しています。

続きを見る

\(\small{ \ y’=\displaystyle\frac{2p}{y} \ }\)だから、接線の方程式は\(\small{ \ y=\displaystyle\frac{2p}{y_1}(x-x_1)+y_1 \ }\)
接線の方程式の求め方を忘れている人はこっちも復習しておこう。とても大切な式だからね。

CHECK
接線の方程式-i
接線の方程式

曲線上の点における接線の求め方や曲線上にない点から引いた接線の方程式の求め方について解説しています。

続きを見る

接線の式を覚えていれば、それでいいんだけど、ほとんどの問題集や参考書には次の式まで変形してある。
\(\small{ \ \begin{aligned}
y_1y&=2p(x-x_1)+{y_1}^2\\
&=2p(x-x_1)+4px_1\\
&=2p(x+x_1)\end{aligned} \ }\)
こっちの方が見た目がいいかもしれないけど、陰関数の微分がきちんとできていれば問題ないからこの式はそこまで気にしなくて大丈夫だからね。

放物線の接線

point
三次関数の接線なら微分を使わないといけないけど、放物線(二次関数)と直線が接するって言ったら判別式でもよかったよね。\(\small{ \ y^2=4px \ }\)の放物線も判別式を使って接線を求めても問題ないから覚えておこう。
CHECK
放物線と直線の共有点-i
放物線と直線の共有点の求め方

放物線と直線の共有点の座標の求め方について学習します。判別式を利用した接するときの求め方や、解と係数の関係を利用した共有点の問題について解説します。

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Point 放物線

①放物線は準線と焦点からの距離が等しい点の軌跡
②焦点\(\small{ \ (p,0) \ }\)、準線\(\small{ \ x=-p \ }\)のとき\(\small{ \ y^2=4px \ }\)
③焦点\(\small{ \ (0,p) \ }\)、準線\(\small{ \ y=-p \ }\)のとき\(\small{ \ x^2=4py \ }\)
④接線の傾きは陰関数の微分を利用

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答

\(\small{ \ xy \ }\)平面において、点\(\small{ \ \mathrm{F}(p,0) \ }\)と\(\small{ \ y \ }\)軸から等距離にある点の軌跡を\(\small{ \ C \ }\)とする。ただし\(\small{ \ p\gt0 \ }\)とする。
(1)\(\small{ \ C \ }\)を表す方程式を求めよ。
(2)\(\small{ \ C \ }\)上の点\(\small{ \ \mathrm{P}(x_0,y_0) \ }\)における接線\(\small{ \ l \ }\)の方程式を求めよ。ただし\(\small{ \ y_0\neq 0 \ }\)とする。
(3)(2)の\(\small{ \ l \ }\)と\(\small{ \ x \ }\)軸の交点を\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)とするとき、\(\small{ \ \mathrm{FP=FQ} \ }\)であることを証明せよ。

(1)点\(\small{ \ \mathrm{F}(p,0) \ }\)と\(\small{ \ y \ }\)軸から等距離にある\(\small{ \ C \ }\)上の点を\(\small{ \ (x,y) \ }\)とすると
\(\small{ \ \sqrt{(x-p)^2+y^2}=\left|x\right| \ }\)
両辺二乗して
\(\small{ \ (x-p)^2+y^2=x^2 \ }\)
これを整理して、\(\small{ \ y^2=2px-p^2 \ }\)

(2)\(\small{ \ y^2=2px-p^2 \ }\)の両辺を\(\small{ \ x \ }\)で微分すると
\(\small{ \ 2y\displaystyle\frac{dy}{dx}=2p \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\frac{dy}{dx}=\displaystyle\frac{p}{y} \ }\)
よって、\(\small{ \ \mathrm{P}(x_0,y_0) \ }\)における接線の方程式は
\(\small{ \ y=\displaystyle\frac{p}{y_0}(x-x_0)+y_0 \ }\)
\(\small{ \ y=\displaystyle\frac{p}{y_0}x-\displaystyle\frac{px_0}{y_0}+y_0 \ }\)

(3)\(\small{ \ \displaystyle\frac{p}{y_0}x-\displaystyle\frac{px_0}{y_0}+y_0=0 \ }\)
\(\small{ \ \begin{aligned}
x&=\displaystyle\frac{y_0}{p}\left(\displaystyle\frac{px_0}{y_0}-y_0\right)\\
&=x_0-\displaystyle\frac{{y_0}^2}{p}\\
&=x_0-\displaystyle\frac{2px_0-p^2}{p}\\
&=p-x_0
\end{aligned} \ }\)
\(\small{ \ \mathrm{FQ}=\left|(p-x_0)-p\right|=\left|x\right| \ }\)
\(\small{ \ \begin{aligned}
\mathrm{FP}&=\sqrt{(x_0-p)^2+{y_0}^2}\\
&=\sqrt{{x_0}^2-2px_0+p^2+2px_0-p^2}\\
&=\sqrt{{x_0}^2}=\left|x\right| \end{aligned} }\)
\(\small{ \ \therefore \mathrm{FP=FQ} \ }\)

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]]> 確率漸化式のテクニック(後編) https://xn--48s96ub7b0z5f.net/kakuritsu-zenkashiki-technique-2/ Thu, 25 Nov 2021 10:37:34 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9551 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は確率漸化式のテクニックについて学習していこう。

確率漸化式のテクニック

漸化式のテクニックは二つの記事に分けていて、前編を見てない人は、先に前編から見てほしい。

CHECK
確率漸化式のテクニック-i
確率漸化式のテクニック(前編)

確率漸化式の解き方について、覚えておきたいテクニックについて解説しています。

続きを見る

それと確率漸化式を使う問題か見分ける方法については下の記事を確認しておこう。

CHECK
確率漸化式の基本-i
確率漸化式の基本

確率漸化式を利用する場合の見分け方や、その解き方について解説しています。

続きを見る

確率漸化式のテクニック

①与えられていない確率も文字で置いてみる。
②対称性がある問題は対称性を利用する。
③\(\small{ \ n \ }\)における確率の和が\(\small{ \ 1 \ }\)になることを利用する。
④問題によっては偶奇分けなど、ある数で割った余りで分類する。

確率漸化式のテクニック②

確率漸化式の問題でよく出題されるのが偶奇分けや\(\small{ \ 3 \ }\)で割った余りで分類する問題。
次はそんな問題を確認していこう。

問題

図のように正三角形を\(\small{ \ 9 \ }\)つの部屋に辺で区切り、部屋\(\small{ \ \mathrm{P、Q} \ }\)を定める。\(\small{ \ 1 \ }\)つの球が部屋\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)を出発し、\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに、そのまま部屋にとどまることなく、辺を共有する隣の部屋に等しい確率で移動する。球が\(\small{ \ n \ }\)秒後に部屋\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にある確率を求めよ。

まず、この問題を見たときに図形の対称性を考えたい。図形の対称性を利用することで、\(\small{ \ 9 \ }\)つの部屋は次の\(\small{ \ 3 \ }\)つのグループ(色)に分かれるんだ。

赤の部屋は\(\small{ \ 3 \ }\)つの部屋と隣り合っているから、隣の部屋に移動する確率は\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{3} \ }\)。

青の部屋は\(\small{ \ 2 \ }\)つの部屋と隣り合ってるから、隣の部屋に移動する確率は\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{2} \ }\)。

緑の部屋は\(\small{ \ 1 \ }\)つの部屋と隣り合っているから、隣の部屋に移動する確率は\(\small{ \ 1 \ }\)。

point
この対称性は三角形を右に回転させて\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)が\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)の位置にくるようしても図形は同じだから、対称が利用できるってことに気づいてほしい。

下図のように各部屋に名前をつけて、\(\small{ \ n \ }\)秒後にそれぞれの部屋にいる確率を部屋の名前の小文字で表しておこう。

\(\small{ \ a_n、b_n、c_n、d_n、e_n、f_n、p_n、q_n、r_n \ }\)

そして、\(\small{ \ n \ }\)秒と\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後の関係式を立てると次の関係式が成り立つよね。

\(\small{ \ a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{3}p_n\\[7pt] \ b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{3}r_n\\[7pt] \ c_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{3}q_n\\[7pt] \ d_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{3}p_n+\displaystyle\frac{1}{3}r_n\\[7pt] \ e_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{3}p_n+\displaystyle\frac{1}{3}q_n\\[7pt] \ f_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{3}q_n+\displaystyle\frac{1}{3}r_n\\[7pt] \ p_{n+1}=a_n+ \displaystyle\frac{1}{2}d_n+\displaystyle\frac{1}{2}e_n\\[7pt] \ q_{n+1}=c_n+ \displaystyle\frac{1}{2}e_n+\displaystyle\frac{1}{2}f_n \\[7pt] \ r_{n+1}=b_n+ \displaystyle\frac{1}{2}d_n+\displaystyle\frac{1}{2}f_n \ }\)

文字がたくさんで大変だけど、求めたいのは\(\small{ \ q_n \ }\)だから、まずはそれを頭に入れておこう。

つまり、\(\small{ \ q_n \ }\)と\(\small{ \ q_{n+1} \ }\)の関係式を求めたいってことだからね。

\(\small{ \ q_{n+1} \ }\)の式に他の式を代入すると

\(\small{\begin{aligned}
\ q_{n+1}&=c_n+\displaystyle\frac{1}{2}e_n+\dfrac{1}{2}f_n\\
&=\dfrac{1}{3}q_{n-1}+ \dfrac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{1}{3}p_{n-1}+\displaystyle\frac{1}{3}q_{n-1} \right)+ \displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{1}{3}q_{n-1}+ \displaystyle\frac{1}{3}r_{n-1}\right)\\
&=\displaystyle\frac{2}{3}q_{n-1} +\displaystyle\frac{1}{6}p_{n-1}+\displaystyle\frac{1}{6}r_{n-1}\end{aligned} \ }\)

になる。この式を見ると何か気がつかないかな。

\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいるのは\(\small{ \ n−1 \ }\)秒後に赤い部分にいるときだけなんだ。

当然\(\small{ \ n \ }\)秒後に赤い部分にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に赤い部分にいることは不可能だよね。

遅くともここで偶奇分けに気づかないといけない。最初\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)(赤い部分)から始まるから、奇数秒後は青か黄色の部分に、偶数秒後は赤い部分にいることになる。これは下の遷移図を見ても明らかだよね。


point
この矢印と数字は次に移動する確率を表しているんだけど、単純に部屋を色だけの区別にすると括弧内の確率になる。この問題では色だけの区別じゃ意味ないけど、問題によっては色だけの区別を利用することもあるから、問題によって遷移図を上のように書き換えたりしてあげよう。

このことから奇数秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいることはないから、偶数秒後だけ考えればいいんだ。

ここで、\(\small{ \ q_{n+1}=\displaystyle\frac{2}{3}q_{n-1} +\displaystyle\frac{1}{6}p_{n-1}+\displaystyle\frac{1}{6}r_{n-1} \ }\)を\(\small{ \ q_{n+2}=\displaystyle\frac{2}{3}q_{n} +\displaystyle\frac{1}{6}p_{n}+\displaystyle\frac{1}{6}r_{n} \ }\)にしておこう。

意味としては同じだけど、一般に数列では\(\small{ \ n \ }\)は自然数だから、\(\small{ \ n-1 \ }\)が出てきたら\(\small{ \ n \geqq 2 \ }\)以上って言わないといけなくなるよね。そうならないようにはじめから\(\small{ \ n-1 \ }\)を使わないように設定しておきたい。

だからはじめから

\(\small{\begin{aligned} \ q_{n+2}&=c_{n+1}+\displaystyle\frac{1}{2}e_{n+1}+\dfrac{1}{2}f_{n+1}\\
&=\dfrac{1}{3}q_{n}+ \dfrac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{1}{3}p_n+\displaystyle\frac{1}{3}q_n \right)+ \displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{1}{3}q_{n}+ \displaystyle\frac{1}{3}r_{n}\right)\\
&=\displaystyle\frac{2}{3}q_{n} +\displaystyle\frac{1}{6}p_{n}+\displaystyle\frac{1}{6}r_{n} \end{aligned} }\)

って式にしたほうがいいね。

この問題は\(\small{ \ 0 \ }\)秒のとき\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)にいるから\(\small{ \ n=0 \ }\)も大丈夫だけど、結局\(\small{ \ n-1 \ }\)が出てきたら、\(\small{ \ n \geqq 1 \ }\)ってしないといけないからね。

そして、赤い部分にいるのは\(\small{ \ n \ }\)は偶数のときだから\(\small{ \ n=2m \ }\)として
\(\small{ \ q_{2(m+1)}=\displaystyle\frac{2}{3}q_{2m} +\displaystyle\frac{1}{6}p_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6}r_{2m} \ }\)

また、偶数秒後は必ず赤い部分にいるから
\(\small{ \ p_{2m}+q_{2m}+r_{2m}=1 \ }\)

\(\small{\begin{aligned} \ q_{2(m+1)}&=\displaystyle\frac{2}{3}q_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6}(p_{2m}+r_{2m})\\
&=\displaystyle\frac{2}{3}q_{2m} +\displaystyle\frac{1}{6}(1-q_{2m})\\
&=\displaystyle\frac{1}{2}q_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6} \end{aligned} }\)

つまり、\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)いるのは、\(\small{ \ 2m \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいる場合と\(\small{ \ 2m \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)以外にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいる場合になるんだ。

これで\(\small{ \ q_{2m} \ }\)の漸化式ができたよね。漸化式が作れてしまえば、あとは漸化式を解くだけだからね。それじゃ解答を確認しておこう。

問題の解答を確認
問題解答

図のように正三角形を\(\small{ \ 9 \ }\)つの部屋に辺で区切り、部屋\(\small{ \ \mathrm{P,Q} \ }\)を定める。\(\small{ \ 1 \ }\)つの球が部屋\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)を出発し、\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに、そのまま部屋にとどまることなく、辺を共有する隣の部屋に等しい確率で移動する。球が\(\small{ \ n \ }\)秒後に部屋\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にある確率を求めよ。

部屋\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)を図のように定め、球が\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)にいる確率をそれぞれ、\(\small{ \ p_n \ }\)、\(\small{ \ q_n \ }\)、\(\small{ \ r_n \ }\)とする。
球ははじめ\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)にあり、\(\small{ \ 1 \ }\)秒毎に隣の部屋に移動することから、奇数秒後は\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)以外の部屋に移動し、偶数秒後に\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)に移動する。

よって、\(\small{ \ m \ }\)を\(\small{ \ 0 \ }\)以上の整数とすると
\(\small{ \ p_{2m+1}+q_{2m+1}+r_{2m+1}=0 \ }\)
\(\small{ \ p_{2m}+q_{2m}+r_{2m}=1 \ }\)
\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいるのは
①「\(\small{ \ 2m \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいる」
②「\(\small{ \ 2m \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいる」
③「\(\small{ \ 2m \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいる」
場合である。
①の場合 \(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{3}\times\displaystyle\frac{1}{2}=\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)
②の場合 \(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{3}\times\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{1}{3}\times1+ \displaystyle\frac{1}{3} \times \displaystyle\frac{1}{2}=\displaystyle\frac{2}{3} \ }\)
③の場合 \(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{3}\times\displaystyle\frac{1}{2}=\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)
よって
\(\small{\begin{aligned}
\ q_{2(m+1)}&= \displaystyle\frac{1}{6}q_{2m}+\displaystyle\frac{2}{3}q_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6}r_{2m}\\
&=\displaystyle\frac{2}{3}q_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6}(p_{2m}+r_{2m})\\
&=\displaystyle\frac{2}{3}q_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6}(1-q_{2m})\\
&=\displaystyle\frac{1}{2}q_{2m}+\displaystyle\frac{1}{6} \end{aligned} }\)
これを変形して
\(\small{ \ q_{2m}-\displaystyle\frac{1}{3}= \displaystyle\frac{1}{2}(q_{2m}-\displaystyle\frac{1}{3}) \ }\)
\(\small{ \ \left\{q_{2m}-\dfrac{1}{3}\right\} \ }\)は、初項\(\small{ \ q_0-\displaystyle\frac{1}{3}=-\displaystyle\frac{1}{3} \ }\)、公比\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{2} \ }\)の等比数列だから
\(\small{ \ q_{2m}-\displaystyle\frac{1}{3}=-\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^m \ }\)
\(\small{ \ \therefore q_{2m}=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^m \ }\)
\(\small{ \ n=2m \ }\)より
\(\small{ \ n \ }\)が奇数のとき\(\small{ \ q_n=0 \ }\)
\(\small{ \ n \ }\)が偶数のとき\(\small{ \ q_n=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\tiny{\displaystyle\frac{n}{2}}} \ }\)

point
はじめ\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)に球があることと、図形的に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)と\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)は対称だから、\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{Q} \ }\)にいる確率\(\small{ \ q_n \ }\)と\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{R} \ }\)にいる確率\(\small{ \ r_n \ }\)は同じになるのもわかるよね。

つまり\(\small{ \ r_n=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\tiny{\displaystyle\frac{n}{2}}} \ }\)
\(\small{ \ p_n+q_n+r_n=1 \ }\)から
\(\small{\begin{aligned} \ p_n&=1-q_n-r_n\\
&=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{2}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\tiny{\displaystyle\frac{n}{2}}} \end{aligned} }\)

さらに極限の考え方になるけど、\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくすると
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}p_n=\displaystyle\frac{1}{3} \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}q_n=\displaystyle\frac{1}{3} \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}r_n=\displaystyle\frac{1}{3} \ }\)
になって、\(\small{ \ \mathrm{P、Q、R} \ }\)にいる確率は同じになることもわかるよね。
はじめに\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)にいるから\(\small{ \ p_n \ }\)だけ少し式は違うけど、\(\small{ \ n \ }\)が大きくなると\(\small{ \ \mathrm{P、Q、R} \ }\)にいる確率は変わらないってことなんだ。

Point 確率漸化式のテクニック

①問題に与えられていない場合の確率も文字でおく。
②図形の対称性を考える。
③\(\small{ \ n \ }\)秒の確率の和が\(\small{ \ 1 \ }\)になることを利用する。
④問題によっては偶奇分けなど、ある数で割った余りで分類する。

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答

立方体のある頂点にマウスがいて\(\small{ \ 1 \ }\)回ごとに頂点からの頂点へ辺に沿って移動する。頂点に立つごとに、どの方向に進むかは(今来た辺を含めて)等確率であるとする。
\(\small{ \ n \ }\)回目の移動で最初の頂点に戻っている確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とする。\(\small{ \ p_n \ }\)を求めよ。

立方体の頂点を\(\small{ \ \mathrm{ABCDEFGH} \ }\)とし、最初マウスが\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいるとする。

\(\small{ \ 8 \ }\)個の頂点を\(\small{ \ A=\left\{\mathrm{A}\right\} \ }\)、\(\small{ \ P=\left\{\mathrm{B,D,E}\right\} \ }\)、\(\small{ \ Q=\left\{\mathrm{C,F,H}\right\} \ }\)、\(\small{ \ R=\left\{\mathrm{G}\right\} \ }\)の組にわけると、遷移図は次のようになる。

このことからはじめの点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)に戻るのは偶数回目の移動であることがわかる。よって\(\small{ \ n \ }\)が奇数のとき\(\small{ \ p_n=0 \ }\)である。
\(\small{ \ n=2m \ }\)を考える。
\(\small{ \ 2m \ }\)回の移動でマウスは\(\small{ \ A \ }\)の点か\(\small{ \ Q \ }\)の点にいるから、\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)回の移動で\(\small{ \ A \ }\)の点にいるのは、「\(\small{ \ 2m \ }\)回の移動で\(\small{ \ A \ }\)の点にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)回の移動で\(\small{ \ A \ }\)にいる」場合と、「\(\small{ \ 2m \ }\)回の移動で\(\small{ \ A \ }\)の点にいて\(\small{ \ 2(m+1) \ }\)回の移動で\(\small{ \ Q \ }\)にいる」場合である。\(\small{ \ n \ }\)回の移動で\(\small{ \ Q \ }\)の点にいる確率を\(\small{ \ q_n \ }\)とすると、
\(\small{ \ \begin{aligned}
p_{2(m+1)}&=1\times\displaystyle\frac{1}{3}p_{2m} +\displaystyle\frac{2}{3}\times\displaystyle\frac{1}{3}q_{2m} \\
&=\displaystyle\frac{1}{3}p_{2m} +\displaystyle\frac{2}{9}q_{2m}
\end{aligned} \ }\)
偶数回では必ず\(\small{ \ A \ }\)の点か\(\small{ \ Q \ }\)の点にいるから、\(\small{ \ p_{2m}+q_{2m}=1 \ }\)
\(\small{ \ \begin{aligned}
p_{2(m+1)}&=\displaystyle\frac{1}{3}p_{2m} +\displaystyle\frac{2}{9}(1-p_{2m})\\
&=\displaystyle\frac{1}{9}p_{2m}+\displaystyle\frac{2}{9}
\end{aligned} \ }\)
これを変形して
\(\small{ \ p_{2(m+1)}-\displaystyle\frac{1}{4}=\displaystyle\frac{1}{9}\left(p_{2m}-\displaystyle\frac{1}{4}\right) \ }\)
数列\(\small{ \ \left\{p_{2m}-\displaystyle\frac{1}{4}\right\} \ }\)は初項\(\small{ \ p_0-\displaystyle\frac{1}{4}=\displaystyle\frac{3}{4} \ }\)、公比\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{9} \ }\)の等比数列
\(\small{ \ p_{2m}-\displaystyle\frac{1}{4}=\displaystyle\frac{3}{4}\left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{m} \ }\)
\(\small{ \ p_{2m}=\displaystyle\frac{3}{4}\left(\displaystyle\frac{1}{3}\right)^{2m}+\displaystyle\frac{1}{4} \ }\)

よって求める確率は
\(\small{ \ n \ }\)が奇数のとき \(\small{ \ p_{n}=0 \ }\)
\(\small{ \ n \ }\)が偶数のとき \(\small{ \ p_{n}=\displaystyle\frac{3}{4}\left(\displaystyle\frac{1}{3}\right)^{n}+\displaystyle\frac{1}{4} \ }\)

point
\(\small{ \ 8 \ }\)個の頂点を\(\small{ \ S=\left\{\mathrm{A,C,F,H}\right\} \ }\)、\(\small{ \ T=\left\{\mathrm{B,D,E,G}\right\} \ }\)の組にわけると、\(\small{ \ 1 \ }\)回の移動で「\(\small{ \ S \ }\)から\(\small{ \ T \ }\)に移動する」か、「\(\small{ \ T \ }\)から\(\small{ \ S \ }\)に移動する」しかないこともわかるよね。

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は確率漸化式のテクニックについて学習していこう。

確率漸化式の解き方

確率漸化式の基本については前回の記事で学習したけど、今回はもう少し難しい確率漸化式の問題を学習していこう。

記事の内容が長くなったから、前編と後編の二つの記事に分けたからどちらの記事も確認してほしい。

まずは確率漸化式を利用する問題では、確率漸化式を使う問題が見分ける必要があるよね。その辺りについては前の記事を確認しておこう。

CHECK
確率漸化式の基本-i
確率漸化式の基本

確率漸化式を利用する場合の見分け方や、その解き方について解説しています。

続きを見る

確率漸化式のテクニック

①与えられていない確率も文字で置いてみる。
②\(\small{ \ n \ }\)における確率の和が\(\small{ \ 1 \ }\)になることを利用する。
③対称性がある問題は対称性を利用する。

確率漸化式のテクニック

今回は確率漸化式の問題の解説をポイントをおさえながら考えていこう。
まずはこの問題を確認しよう。

問題

正四面体\(\small{ \ \mathrm{ABCD} \ }\)の頂点を移動する点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)がある。点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)は、\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに、隣の\(\small{ \ 3 \ }\)頂点のいずれかに等しい確率\(\small{ \ \displaystyle\frac{a}{3} \ }\)で移るか、もとの頂点に確率\(\small{ \ 1-a \ }\)で留まる。初め頂点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいた点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)が、\(\small{ \ n \ }\)秒後に頂点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいる確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とする。ただし、\(\small{ \ 0\lt a\lt1 \ }\)とし、\(\small{ \ n \ }\)は自然数とする。
(1)数列\(\small{ \ \left\{p_n\right\} \ }\)の漸化式を求めよ。
(2)確率\(\small{ \ p_n \ }\)を求めよ。

確率漸化式の基本で学習した「\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに変化して\(\small{ \ n \ }\)秒後にある状態になっている確率」の問題だから\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいる確率を\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいる確率を使って表すことができたらいいよね。

\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいるのは
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後も\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
\(\small{ \ 4 \ }\)つの場合で、これらは排反だよね。

問題は\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいる確率だけ\(\small{ \ p_n \ }\)になっているけど、\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{B、C、D} \ }\)にいる確率をそれぞれ\(\small{ \ b_n,c_n,d_n \ }\)っておくと、漸化式は

\(\small{ \begin{eqnarray}
p_{n+1}&=&(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}b_n+\displaystyle\frac{a}{3}c_n+\displaystyle\frac{a}{3}d_n\\
&=&(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}(b_n+c_n+d_n)
\end{eqnarray} \ }\)

まずここが一つ目のポイントね。問題文には与えられていないけど、\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{B、C、D} \ }\)にいる確率もおいてみよう。そのほうが見通しがいい。

文字が多くなって複雑になった気がするけど、\(\small{ \ \mathrm{B、C、D} \ }\)は初めにいる\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)じゃない点ってことで、対称性があるよね。だから\(\small{ \ 2 \ }\)行目を見ると\(\small{ \ (b_n+c_n+d_n) \ }\)ってまとめられるからね。

次に大切なことが\(\small{ \ n \ }\)秒後の確率の和は\(\small{ \ 1 \ }\)になること。\(\small{ \ n \ }\)秒後は\(\small{ \ \mathrm{A、B、C、D} \ }\)のどこかにいるわけだから、\(\small{ \ p_n+b_n+c_n+d_n=1 \ }\)が成り立つよね。

だから、\(\small{ \ 2 \ }\)行目の\(\small{ \ b_n+c_n+d_n=1-p_n \ }\)になるんだ。これって、\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいない確率だよね。

漸化式は

\(\small{ \begin{eqnarray}
p_{n+1}&=&(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}(b_n+c_n+d_n)\\
&=&(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}(1-p_n)
\end{eqnarray} \ }\)

になる。

結局、\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{B、C、D} \ }\)にいる確率も文字でおいたけど、「対称性」や「n秒後の確率の和が1」を使うことでおいた文字を消すことができるんだ。

対称性がわかって、最初から\(\small{ \ \mathrm{B、C、D} \ }\)のいずれかにいる確率を\(\small{ \ 1-p_n \ }\)っておくことができる人は\(\small{ \ b_n,c_n,d_n \ }\)は使わなくてもいいけど、見通しが立たない人は問題文になくても自分で確率をおいて漸化式を立てるようにしよう。

漸化式が作れてしまえば、あとは漸化式を解くだけだからね。

問題の解答を確認
問題解答

正四面体\(\small{ \ \mathrm{ABCD} \ }\)の頂点を移動する点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)がある。点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)は、\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに、隣の\(\small{ \ 3 \ }\)頂点のいずれかに等しい確率\(\small{ \ \displaystyle\frac{a}{3} \ }\)で移るか、もとの頂点に確率\(\small{ \ 1-a \ }\)で留まる。初め頂点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいた点\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)が、\(\small{ \ n \ }\)秒後に頂点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいる確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とする。ただし、\(\small{ \ 0\lt a\lt1 \ }\)とし、\(\small{ \ n \ }\)は自然数とする。
(1)数列\(\small{ \ \left\{p_n\right\} \ }\)の漸化式を求めよ。
(2)確率\(\small{ \ p_n \ }\)を求めよ。

\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいるのは
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後も\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
「\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)にいて、\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)いる」
\(\small{ \ 4 \ }\)つの場合である。
\(\small{ \ n \ }\)秒後に\(\small{ \ \mathrm{B、C、D} \ }\)にいる確率をそれぞれ\(\small{ \ b_n,c_n,d_n \ }\)とおくと、

\(\small{ \
\begin{eqnarray}
p_{n+1}&=&(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}b_n+\displaystyle\frac{a}{3}c_n+\displaystyle\frac{a}{3}d_n\\
&=&(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}(b_n+c_n+d_n)
\end{eqnarray} \ }\)

\(\small{ \ p_n+b_n+c_n+d_n=1 \ }\)であるから
\(\small{ \ p_{n+1}=(1-a)p_n+\displaystyle\frac{a}{3}(1-p_n) \ }\)
\(\small{ \ p_{n+1}=\left(1- \displaystyle\frac{4}{3}a\right)p_n+ \displaystyle\frac{a}{3} \ }\)

(2)(1)の漸化式を変形すると
\(\small{ \ p_{n+1}- \displaystyle\frac{1}{4}= \left(1- \displaystyle\frac{4}{3}a\right)\left(p_n- \displaystyle\frac{1}{4}\right) \ }\)
\(\small{ \ \mathrm{P} \ }\)ははじめ(\(\small{ \ 0 \ }\)秒のとき)、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)にいるから\(\small{ \ p_0=1 \ }\)である。
よって\(\small{ \ \left\{p_n- \displaystyle\frac{1}{4}\right\} \ }\)は初項\(\small{ \ p_0- \displaystyle\frac{1}{4}= \displaystyle\frac{3}{4} \ }\)、公比\(\small{ \ 1- \displaystyle\frac{4}{3}a \ }\)の等比数列
\(\small{ \ p_n- \displaystyle\frac{1}{4}= \displaystyle\frac{3}{4}\left(1- \displaystyle\frac{4}{3}a\right)^n \ }\)
\(\small{ \ \therefore p_n= \displaystyle\frac{3}{4}\left(1- \displaystyle\frac{4}{3}a\right)^n+ \displaystyle\frac{1}{4} \ }\)

Point 確率漸化式のテクニック

①問題に与えられていない場合の確率も文字でおく。
②図形の対称性を考える。
③\(\small{ \ n \ }\)秒の確率の和が\(\small{ \ 1 \ }\)になることを利用する。

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答

最初\(\small{\mathrm{A}}\)、\(\small{\mathrm{B}}\)、\(\small{\mathrm{C}}\)の\(\small{ \ 3 \ }\)人が、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)を先頭に\(\small{\mathrm{A}}\)、\(\small{\mathrm{B}}\)、\(\small{\mathrm{C}}\)の順で一列に並んでいる。さいころを投げるたびに、以下の操作を行う。
・\(\small{ \ 1 \ }\)の目が出たら、先頭の人と\(\small{ \ 2 \ }\)番目の人を入れ替える。
・\(\small{ \ 2 \ }\)の目が出たら、\(\small{ \ 2 \ }\)番目の人と\(\small{ \ 3 \ }\)番目の人を入れ替える。
・\(\small{ \ 1}\)、\(\small{ \ 2 \ }\)以外の目が出たら、入れ替えを行わない。
\(\small{ \ n \ }\)を自然数とする。\(\small{ \ n \ }\)回さいころを投げた後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)が先頭にいる確率を\(\small{ \ p_n \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)が\(\small{ \ 2 \ }\)番目にいる確率を\(\small{ \ q_n \ }\)とする。
(1)\(\small{ \ p_1}\)、\(\small{q_1 \ }\)を求めよ。
(2)\(\small{ \ p_{n+1}}\)、\(\small{ \ q_{n+1} \ }\)を\(\small{ \ p_{n}}\)、\(\small{ \ q_{n} \ }\)を用いてそれぞれ表せ。
(3)\(\small{ \ q_n \ }\)を求めよ。
(4) \(\small{ \ a_n=2^n\left(p_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right) \ }\)とおき、\(\small{ \ a_{n+1} \ }\)と\(\small{ \ a_n \ }\)の関係式を求めよ。さらに、\(\small{ \ p_n \ }\)を求めよ。

(1)\(\small{ \ 1 \ }\)回のさいころを投げた後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)が先頭にいるのは、\(\small{ \ 1 \ }\)の目が出る以外だから
\(\small{ \ p_1=1-\displaystyle\frac{1}{6}=\displaystyle\frac{5}{6} \ }\)
\(\small{ \ 2 \ }\)番目にいるのは\(\small{ \ 1 \ }\)の目が出るときだから
\(\small{ \ q_1=\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)

(2)\(\small{ \ n \ }\)回さいころを投げた後に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)が\(\small{ \ 3 \ }\)番目にいる確率を\(\small{ \ r_n \ }\)とする。
順番が入れ替わる確率は次のようになる。

図より

\(\small{ \begin{aligned}
p_{n+1}&=\displaystyle\frac{5}{6}\times p_n+\displaystyle\frac{1}{6}\times q_n+0\times r_n\\
&=\displaystyle\frac{5}{6}p_n+\displaystyle\frac{1}{6}q_n
\end{aligned} \ }\)

同様に図から

\(\small{ \begin{aligned}
q_{n+1}&=\displaystyle\frac{1}{6}\times p_n+ \displaystyle\frac{2}{3}\times q_n+ \displaystyle\frac{1}{6} \times r_n\\
&=\displaystyle\frac{1}{6}p_n+\displaystyle\frac{2}{3}q_n+\displaystyle\frac{1}{6}r_n\\
&=\displaystyle\frac{1}{6}p_n+\displaystyle\frac{2}{3}q_n+\displaystyle\frac{1}{6}(1-p_n-q_n)\\
&=\displaystyle\frac{1}{2}p_n+ \displaystyle\frac{1}{6} \end{aligned} }\)

(3) \(\small{ \ q_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}q_{n}+\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)
これを変形して
\(\small{ \ q_{n+1}-\displaystyle\frac{1}{3}=\displaystyle\frac{1}{2}\left(q_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right) \ }\)
\(\small{ \ \left\{q_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right\} \ }\)は初項\(\small{ \ q_1-\displaystyle\frac{1}{3}=-\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)、公比\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{2} \ }\)の等比数列
\(\small{ \ q_n-\displaystyle\frac{1}{3}=-\displaystyle\frac{1}{6}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1} \ }\)
\(\small{ \begin{aligned}
q_n&=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{6}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\\
&=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n \end{aligned} }\)

(4)\(\small{ \ p_{n+1}=\displaystyle\frac{5}{6}p_n+\displaystyle\frac{1}{6}q_n \ }\)
(3)より

\(\small{ \begin{aligned}
p_{n+1}&=\displaystyle\frac{5}{6}p_n+\displaystyle\frac{1}{6}\left\{\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n\right\}\\
&=\displaystyle\frac{5}{6}p_n-\displaystyle\frac{1}{18}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{18}
\end{aligned} }\)

両辺から\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{3} \ }\)ひくと

\(\small{ \begin{aligned}
p_{n+1}-\displaystyle\frac{1}{3}&=\displaystyle\frac{5}{6}p_n-\displaystyle\frac{1}{18}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n-\displaystyle\frac{5}{18}\\
&=\displaystyle\frac{5}{6}\left(p_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right)-\displaystyle\frac{1}{18}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n
\end{aligned} \ }\)

両辺に\(\small{ \ 2^{n+1} \ }\)かけると

\(\small{ \ 2^{n+1}\left(p_{n+1}-\displaystyle\frac{1}{3}\right)=\displaystyle\frac{5}{3}\left(p_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right)-\displaystyle\frac{1}{9} \ }\)

\(\small{ \ 2^n\left(a_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right) \ }\)より
\(\small{ \ a_{n+1}=\displaystyle\frac{5}{3}p_n-\displaystyle\frac{1}{9} \ }\)
これを変形して
\(\small{ \ a_{n+1}-\displaystyle\frac{1}{6}=\displaystyle\frac{5}{3}\left(a_n-\displaystyle\frac{1}{6}\right) \ }\)
数列\(\small{ \ \left\{a_n-\displaystyle\frac{1}{6}\right\} \ }\)は初項\(\small{ \ a_1-\displaystyle\frac{1}{3}=2\left(p_1-\displaystyle\frac{1}{3}\right)-\displaystyle\frac{1}{6}=\displaystyle\frac{5}{6} \ }\)、公比\(\small{ \ \displaystyle\frac{5}{3} \ }\)の等比数列
\(\small{ \ a_{n}-\displaystyle\frac{1}{6}=\displaystyle\frac{5}{6}\left(\displaystyle\frac{5}{3}\right)^{n-1} \ }\)
\(\small{ \ a_n=\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{5}{3}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)
\(\small{ \ 2^n\left(p_n-\displaystyle\frac{1}{3}\right)=\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{5}{3}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{6} \ }\)
\(\small{ \ p_n-\displaystyle\frac{1}{3}=\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{5}{6}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{6}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n \ }\)
\(\small{ \ p_n=\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{5}{6}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{6}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{3} \ }\)

point
確率漸化式は漸化式を立てられたら、あとは解くだけにしたい。だから漸化式は確実に全パターン解けるようにしておこう。この問題みたいに問題文が数列を与えていたら、その形に合わせて変形しよう。

確率漸化式の後編は下のリンクから!

CHECK
確率漸化式のテクニック-i
確率漸化式のテクニック(後編)

確率漸化式の解き方について、覚えておきたいテクニックについて解説しています。

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]]> 確率漸化式の基本 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/kakuritsu-zenkashiki-kihon/ Tue, 16 Nov 2021 15:38:41 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9352 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は確率漸化式について学習していこう。

確率漸化式とは

確率漸化式とはその名前の通り、確率の漸化式のこと。漸化式は数列の単元で、数列の一般項を求めるものだった。

確率漸化式はこれを確率に応用したもので、難関大学の入試によく出題されるイメージだったけど、最近では色々な大学でもわりと出題されてる。

「確率」+「漸化式」で難しく感じるけど、しっかりと理解できたら難しいことはないから、この記事を読んで、まずは確率漸化式の基本を理解しよう。

確率漸化式

\(\small{ \ n \ }\)回目に状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)である確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とすると
\(\small{ \ p_{n+1}=\alpha p_n + \beta(1-p_n) \ }\)

確率漸化式を使う問題の見分け方

もちろん問題に「確率漸化式を求めよ」なんて問題はない。定期試験等の易しい問題だったら小問(1)で「\(\small{ \ p_{n+1} \ }\)と\(\small{ \ p_n \ }\)の関係式を求めよ。」って問題から確率漸化式だって気づくかもしれないけど、入試ではなかなかそういう問題はない。

だから問題を読んで自分で漸化式を使うって判断しないといけない。じゃあ、どうやって判断するのかってなるんだけど、まずは『\(\small{ \ n \ }\)を含む確率の問題』を見たら確率漸化式を頭に浮かべていいと思う。

漸化式はある数列の\(\small{ \ n \ }\)番目と\(\small{ \ n+1 \ }\)番目の関係式(問題によっては\(\small{ \ n+2 \ }\)番目も)だから、問題に\(\small{ \ n \ }\)が出てくる必要があるよね。

だから\(\small{ \ n \ }\) を含む確率の問題では確率漸化式を考えてみることが大切なんだ。

実際よく出題されているのは次の\(\small{ \ 2 \ }\)つ。
①ある操作を繰り返して\(\small{ \ n \ }\)回目にある状態になっている確率
②\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに変化して\(\small{ \ n \ }\)秒後にある状態になっている確率
もちろん、これ以外にも確率漸化式の問題はあるけど、上の形になっていることが多い。

ただ、注意しないといけないのが、\(\small{ \ n \ }\)を含む確率の問題には、確率漸化式を立てる問題以外にも、直接確率を求める問題もある。
例えば、「サイコロを\(\small{ \ 10 \ }\)回投げて\(\small{ \ n \ }\)回\(\small{ \ 3 \ }\)の倍数が出る確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とする」のような問題もあるから、\(\small{ \ n \ }\)を含むから必ず確率漸化式になるってことはないんだけど、\(\small{ \ n \ }\)を含んで確率を直接求めることができなかったら、漸化式を立てられないかなって考えてほしい。

入試では\(\small{ \ n \ }\)を含む確率は色々な大学で出題されるから、確率漸化式以外の問題も記事にしていきたいと思っているけど、まずは確率漸化式から始めていく。

point
サイコロを\(\small{ \ 10 \ }\)回投げて\(\small{ \ n \ }\)回\(\small{ \ 3 \ }\)の倍数が出る確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とすると\(\small{ \ p_n={}_{10}\mathrm{C}_{n}\left(\displaystyle\frac{1}{3}\right)^n\left(\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{10-n} \ }\)だからね。思いつかなかった人は反復試行の確率を復習しておこう。
CHECK
反復試行の確率-i
反復試行の確率

2つの事象の反復試行の確率や3つの事象の反復試行の確率について詳しく解説しています。

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確率漸化式の解き方

それじゃ確率漸化式の具体的な解き方を見ていこう。

まずは具体例となる問題を見てみよう。

問題

\(\small{ \ n \ }\)個の袋の中に、それぞれ赤球が\(\small{ \ 1 \ }\)個、白球が\(\small{ \ 9 \ }\)個入っている。これら\(\small{ \ n \ }\)個の袋から、それぞれ\(\small{ \ 1 \ }\)個ずつ球を取り出したとき、赤球が奇数個取り出される確率を\(\small{ \ p_n \ }\)とする。\(\small{ \ p_n \ }\)を求めよ。

\(\small{ \ n \ }\)個の袋から、それぞれ\(\small{ \ 1 \ }\)個ずつ球を取り出すんだから、合計\(\small{ \ n \ }\)個球を取り出すことになる。このとき赤球が奇数個取り出される確率が\(\small{ \ p_n \ }\)だから、赤球が\(\small{ \ k \ }\)個だけ取り出される確率を\(\small{ \ q_k \ }\)とすると、求める確率は
\(\small{ \ p_n=q_1+q_3+q_5+q_7+ \cdots \ }\)ってなるよね。
これ直接求めるのは難しい。

確かに\(\small{ \ q_1 \ }\)は\(\small{ \ n \ }\)個の袋の中から\(\small{ \ 1 \ }\)袋は赤球、残りの\(\small{ \ n-1 \ }\)袋は白球を取り出す確率だから、
\(\small{ \ q_1={}_n\mathrm{C}_1\left(\displaystyle\frac{1}{10}\right)\left(\displaystyle\frac{9}{10}\right)^{n-1} \ }\)って求めることができる。
同様に考えれば、\(\small{ \ q_3={}_n \mathrm{C}_3\left(\displaystyle\frac{1}{10}\right)^3\left(\displaystyle\frac{9}{10}\right)^{n-3} \ }\)、\(\small{ \ q_5={}_n\mathrm{C}_1\left(\displaystyle\frac{1}{10}\right)^5\left(\displaystyle\frac{9}{10}\right)^{n-5} \ }\)、・・・って一つ一つ求めることはできるけど、これらを足すのは難しいし、\(\small{ \ n \ }\)が奇数か偶数かで、場合分けが必要になるよね。

つまり直接\(\small{ \ p_n \ }\)を求めるのは難しいから、確率漸化式を立ててみようって考えることから始まるんだ。

しかも、これはさっき話した①の「ある操作を繰り返して\(\small{ \ n \ }\)回目にある状態になっている確率」だよね。

\(\small{ \ n \ }\)回目にある状態になっている場合となっていない場合は排反であることに注意して漸化式を立てていこう。

確率漸化式は\(\small{ \ p_{n+1} \ }\)と\(\small{ \ p_n \ }\)の関係式(問題によっては\(\small{ \ p_{n+2} \ }\))を求めればいい。この問題では、\(\small{ \ n+1 \ }\)個の袋から赤球が奇数個取り出される確率\(\small{ \ p_{n+1} \ }\)と\(\small{ \ n \ }\)個の袋から赤球が奇数個取り出される確率\(\small{ \ p_{n} \ }\)の関係を求める。

\(\small{ \ n+1 \ }\)個の袋から赤球が奇数個取り出される(確率\(\small{ \ p_{n+1} \ }\))のは、
「\(\small{ \ n \ }\)個の袋から赤球が奇数個取り出されて(確率\(\small{ \ p_n \ }\))、次の袋から白球が取り出されるとき」と
「\(\small{ \ n \ }\)個の袋から赤球が偶数個取り出されて(確率\(\small{ \ 1-p_n \ }\))、次の袋から赤球が取り出されるとき」になる。(くどいけど、この2つは排反だからね。)

遷移図で表すと図のようになる。
確率漸化式では式を立てる前に一度遷移図書いてあげるとわかりやすい。簡単な遷移図を書いて問題を解くようにしよう。

確率漸化式遷移図

これを式にすると
\(\small{ \ p_{n+1}= \displaystyle\frac{9}{10}p_n+ \displaystyle\frac{1}{10}(1-p_n) \ }\)
\(\small{ \ \therefore p_{n+1}= \displaystyle\frac{4}{5}p_n+ \displaystyle\frac{1}{10} \ }\)
これで\(\small{ \ p_{n+1} \ }\)と\(\small{ \ p_n \ }\)の関係式が求まったよね。

あとは隣接二項間漸化式を解くことになるから、初項に注意して一般項求めればいい。
初項は自分で確率\(\small{ \ p_1 \ }\)を求める必要があるからね。

この漸化式を解く前に、漸化式を立てるところをもう一度確認しておこう。

\(\small{ \ n \ }\)個の袋から球を取った時点で、赤球の数は奇数個か偶数個だから、奇数個取る確率が\(\small{ \ p_n \ }\)なら、偶数個取る確率は\(\small{ \ 1-p_n \ }\)だよね。だって奇数個取るか偶数個取るかは排反だからね。ここが一番重要なところになるからね。

この問題の場合、\(\small{ \ n \ }\)個の袋から球を取り出して、その後\(\small{ \ n+1 \ }\)個目の袋から球を取り出すから、\(\small{ \ n+1 \ }\)個の袋から球を取り出したとき赤球を奇数個取るのは、\(\small{ \ n \ }\)個の袋から球を取り出したとき赤球が奇数個あるか偶数個あるかで次に取る球が変わってくるよね。

漸化式が作れたら、あとは漸化式を解けばいいよね。これは隣接二項間漸化式の特性方程式を利用する形だから、式を次のように等比数列の形に変形して答えを出そう。
\(\small{ \ p_{n+1}= \displaystyle\frac{4}{5}p_n+ \displaystyle\frac{1}{10}, \ p_1=\displaystyle\frac{1}{10} \ }\)
これを変形すると
\(\small{ \ p_{n+1}- \displaystyle\frac{1}{2}= \displaystyle\frac{4}{5}\left(p_n-\displaystyle\frac{1}{2}\right) \ }\)
\(\small{ \ \left\{p_n-\displaystyle\frac{1}{2}\right\} \ }\)は、初項\(\small{ \ p_1-\displaystyle\frac{1}{2}=-\displaystyle\frac{2}{5} \ }\)、公比\(\small{ \ \displaystyle\frac{4}{5} \ }\)の等比数列だから
\(\small{ \ p_n-\displaystyle\frac{1}{2}=-\dfrac{2}{5}\cdot \left(\displaystyle\frac{4}{5}\right)^{n-1} \ }\)
\(\small{ \ \therefore p_n=\displaystyle\frac{1}{2}-\dfrac{2}{5}\cdot \left(\displaystyle\frac{4}{5}\right)^{n-1} \ }\)

これが答えになるんだ。漸化式の解き方を忘れている人がいたら、漸化式の解き方を復習しておこう。

CHECK
no image
等比数列と特性方程式を利用する隣接二項間漸化式

特性方程式がなぜ成り立つのかなどの疑問について詳しく解説しています。

続きを見る

確率漸化式の立て方

上の問題を一般化して考えてみよう。
「ある操作を繰り返して\(\small{ \ n \ }\)回目に状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になっている確率\(\small{ \ p_n \ }\)」を求めるとき、\(\small{ \ n \ }\)回目に状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になっている場合となっていない場合は排反であることが重要なんだ。

\(\small{ \ n \ }\)回目に状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になっている確率が\(\small{ \ p_n \ }\)のとき、状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になっていない確率は\(\small{ \ 1-p_n \ }\)になるからね。

\(\small{ \ n \ }\)回目に状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になっていて、\(\small{ \ n+1 \ }\)回目にある状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になる場合と、\(\small{ \ n \ }\)回目に状態\(\small{ \ \overline{\mathrm{A}} \ }\)になっていて、\(\small{ \ n+1 \ }\)回目に状態\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)になる場合を考えればいい。この遷移図を書こう。
確率漸化式の一般的な遷移図

遷移図を書けば、遷移図の通り式を立てて、漸化式を解けばいいんだ。

Point 確率漸化式の基本

①\(\small{ \ n \ }\)を含む確率の問題で、直接確率を求めることができないときは漸化式を考えてみる。
②\(\small{ \ p_{n+1} \ }\)を\(\small{ \ p_n \ }\)と\(\small{ \ 1-p_n \ }\)の状態から考える。
③遷移図を書く。

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答

\(\small{ \ 2 \ }\)つの粒子が時刻\(\small{ \ 0 \ }\)において、\(\small{ \ \triangle \mathrm{ABC} \ }\)の頂点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)に位置している。これらの粒子は独立に運動し、それぞれ\(\small{ \ 1 \ }\)秒ごとに隣の頂点に等確率で移動していくとする。たとえば、ある時刻で点\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)にいる粒子は、その\(\small{ \ 1 \ }\)秒後には点\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)または点\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)にそれぞれ\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{2} \ }\)の確率で移動する。この\(\small{ \ 2 \ }\)つの粒子が、時刻\(\small{ \ 0 \ }\)の\(\small{ \ n \ }\)秒後に同じ点にいる確率\(\small{ \ p(n) \ }\)を求めよ。

\(\small{ \ n+1 \ }\)秒後に\(\small{ \ 2 \ }\)つの粒子が同じ位置にいるのは、
(i)\(\small{ \ n \ }\)秒後に同じ点にいて、その\(\small{ \ 1 \ }\)秒後に同じ点に移動する場合
(ii)\(\small{ \ n \ }\)秒後に異なる点にいて、その\(\small{ \ 1 \ }\)秒後に\(\small{ \ 2 \ }\)つの粒子がいなかった残りの点に移動する場合
の\(\small{ \ 2 \ }\)通りである。

(i)\(\small{ \ n \ }\)秒後に同じ点にいて、その\(\small{ \ 1 \ }\)秒後に同じ点に移動する場合
\(\small{ \ p(n)\times\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^2\times2=\displaystyle\frac{1}{2}p(n) \ }\)
(ii)\(\small{ \ n \ }\)秒後に異なる点にいて、その\(\small{ \ 1 \ }\)秒後に\(\small{ \ 2 \ }\)つの粒子がいなかった残りの点に移動する場合
\(\small{ \ \left(1-p(n)\right)\times\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^2=\displaystyle\frac{1}{4}-\displaystyle\frac{1}{4}p(n) \ }\)
(i)(ii)は排反だから
\(\small{ \ p(n+1)=\displaystyle\frac{1}{2}p(n)+\displaystyle\frac{1}{4}-\displaystyle\frac{1}{4}p(n)\\
=\displaystyle\frac{1}{4}p(n)+ \displaystyle\frac{1}{4} \ }\)
これを変形すると
\(\small{ \ p(n+1)-\displaystyle\frac{1}{3}=\displaystyle\frac{1}{4}\left\{p(n)-\displaystyle\frac{1}{3}\right\} \ }\)
\(\small{ \ p(0)=1 \ }\)より、\(\small{ \ \left\{p(n)-\displaystyle\frac{1}{3}\right\} \ }\)は初項\(\small{ \ \displaystyle\frac{2}{3} \ }\)、公比\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{4} \ }\)の等比数列であるから
\(\small{ \ p(n)-\displaystyle\frac{1}{3}=\displaystyle\frac{2}{3}\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{4}\right)^n \ }\)
よって、\(\small{ \ p(n)=\displaystyle\frac{2}{3}\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{4}\right)^n+\displaystyle\frac{1}{3} \ }\)

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2年目の共通テストについて https://xn--48s96ub7b0z5f.net/kyoutsu-test-2/ Sat, 06 Nov 2021 14:52:01 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9363 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は2年目の共通テストについて話していこう。

2022年共通テスト

今年から始まった共通テスト。センター試験とは異なる形ではあったけど、思っていたほど変わった問題も出題されず、大きな混乱もなかったように思う。

試行テストほど文章も長くなくて、取り組みやすかったからか、平均点も低くなかったしね。

そうなると次の共通テストがどうなるのか気になるよね。今までの学習指導要領が変更されたときがどうだったのかなど、共通テストについて話していきたいと思う。

ただ今回はどちらかというと、先生向けの記事になるかな。このホームページは生徒だけじゃなくて、多くの先生にも読んでもらってるからね。でも生徒のみんなも共通テスト対策をする前に一度読んでおくといいと思う。

新課程導入と過去のセンター試験の平均点と2年目のジンクス

今度の共通テストは\(\small{ \ 2 \ }\)回目の共通テストになるよね。学習指導要領が変更され、新課程になってセンター試験が実施されたのは、\(\small{ \ 1997 \ }\)年と\(\small{ \ 2006 \ }\)年と\(\small{ \ 2015 \ }\)年のとき。この最初の年と次の年のセンター試験の平均点をみると下のようになっている。

数学IA 数学ⅡB
1997 66.40 63.90
1998 63.45 41.38
2006 62.36 57.66
2007 54.06 48.94
2015 61.87 39.31
2016 55.27 47.92

大学入試センターのホームページより抜粋

ほとんどの場合、新課程になった最初のテストより、\(\small{ \ 2 \ }\)年目のテストの平均点が下がってるのがわかるよね。

最初のテストは無難でそれなりに平均点が下がらないように作ったって言えるけど、\(\small{ \ 2 \ }\)年目はもう少し踏み込んだテストになってるとも考えられる。

今度の共通テストは\(\small{ \ 2 \ }\)年目ということになるから、今年の問題より難しくなることが予想できるよね。このことを2年目のジンクスなんていう先生もいたりするからね。

ちなみに初めての共通テスト(第一日程)の平均点は

数学IA 数学ⅡB
2021 57.68 59.93

 
確かに今年の問題より難しくなるとは思うけど、みんなは問題の難易度に左右されないようにやるべきことをしっかりやっておこう。教科書を読み込んだり、公式の導入なんかをきちん確認しておくことが重要だ。

その辺については共通テストの前に記事を書いているから、そっちも読んでおいてほしい。

CHECK
マーク式
大学入学共通テストに向けた勉強法

共通テストに向けた予想や勉強法、マーク式問題について記事を書いています。

続きを見る

共通テストの作問について

センター試験は大学の先生達が作っていたけど、共通テストは大学の先生だけで作られていないことが記事になった。

これは共通テストが終わった頃「共通テストの作問者には高校教員出身者が携わっている」ってインターネットニュースの記事によるもの。

今回もう一度その記事を探してみたけど、リンクが切れてて記事は読めなかった。だからリンクは貼れてないけど、大切な部分はそのときメモしたから、それについて書きたいと思う。

ちなみにセンター試験は大学の先生が作問しているって本やネットの記事も多数あるけど、共通テストの作問者についての記事を僕が見たのは、その記事が最初だったと思う。

その記事は試験問題の作成を統括した責任者(名前も掲載されていた)が取材に応じていたから、信用できる記事だったと思う。

その記事には作問について次のことが書いてあった。ただ、これは数学に限った話ではなく、共通テスト全体に対してのコメントになる。

①受験生にその場で出題の前提をよく考えて答えにたどりついてほしい。
②教科書に書いてある知識を覚えて吐き出せば解ける問題は極力避けた。
③歴史資料を提示した問題も、そのまま、うのみにするのではなく、文脈をいったん考えたうえで答えてもらいたい。
④大人の思惑で答えを誘導するようなことはないように意識した。

数学に関しては

①実生活や高校生が分かる事象と理論と結び付けることを意図的に強調した。
②数学も単に公式を覚えて解くのではなく、数学をどう使って役立てるのか意識した問題の作りにしたいと考えた。

さらに作問者については

大学教員が作る入試問題と高校教育との連動性に課題があると指摘されるなか、今回から常勤の職員の試験問題調査官に高校教員出身者を採用し改善を図った。

とあった。

共通テスト後にその記事読んで、やはり今までのような公式を覚えるだけの受験テクニックで乗り切るセンター対策では通用しないなと再確認した。

二次試験に数学が必要な生徒は覚えるだけの勉強はしてなかったと思うけど、数学がセンター試験にしか必要ないって生徒は、単に公式を覚えて、マーク演習を繰り返して力をつけた生徒も多かったと思う。

でも、共通テストが上で話されたような作問の仕方をするってことであれば、やはり公式の導入などしっかりと確認しておく必要があるし、なんなら文章が長くなるから国語力も必要になりそうだよね。(数学の試験は単純に数学の力を評価する試験であって欲しいところだけどね。)

しかも高校教員出身者が作問に携わるようになったってことは、生徒がよく間違える誤答やよくある質問なんかが問題として出やすくなりそう。普段君たち生徒が教室で話題にしてる疑問点を、太郎さん花子さんの会話文にしてそのまま出題される可能性もあるからね。

だから、普段から疑問点は必ずそのままにしておかないで、きちんと解決しておこう。先生に質問してるその会話が、共通テストにそのまま出題されることだってあるかもしれない。

point
君の先生が作問者ってことではなく、教育現場で同じような質問がたくさん出ていれば問題として取り上げられる可能性があるって意味だからね。疑問点は必ずなくしておこう。

それと、今回上のリンク切れの記事を探していたところ、下の記事を見つけた。先生向けだけど、この記事も参考になると思う。

大学入試センター・荒井克弘客員教授「共通テストの作問体制は抜本的に変わった」|知りたい 聞きたい キーパーソンに問う|朝日新聞EduA
大学入試センター・荒井克弘客員教授「共通テストの作問体制は抜本的に変わった」|知りたい 聞きたい キーパーソンに問う|朝日新聞EduA

「学力の3要素」を改革の柱に実施された最初の大学入学共通テストは、問題形式が大きく変わったにもかかわらず、平均点は意外に高い結果に終わりました。思考力より、読解力や情報処理能力を問われたという声も高校 ...

www.asahi.com

これ以外にも初めての大学入試センターのホームページで見ることができる共通テストの報告書も一度見ておくといいと思う。

数学の力を評価する試験

少し前に安田亨先生の「入試数学 伝説の良問\(\small{ \ 100 \ }\)」を読んでいたら、「センター試験の内幕」ってコラムで、センター試験の作問委員を務めた佐藤先生の記事(「大学への数学」\(\small{ \ 2003 \ }\)年\(\small{ \ 4 \ }\)月号)の一部が紹介されていた。

「大学への数学」(\(\small{ \ 2003 \ }\)年\(\small{ \ 4 \ }\)月号)なんて持ってないなーと思って読んだんだけど、なぜか知っている内容だった。

それで調べたら、大学への数学の増刊号の入試の軌跡(センター試験編)に「大学への数学」(\(\small{ \ 2003 \ }\)年\(\small{ \ 4 \ }\)月号・\(\small{ \ 5 \ }\)月号)に掲載された佐藤先生の「大学入試センター作問委員の理想と現実」って元の記事が多分そのまま\(\small{ \ 6 \ }\)ページにわたって掲載されていて、それを読んだことがあったんだ。以前も読んだんだけど、あらためて読み直してみるとこれがとても面白かった。

センター試験作問委員の内情の話など面白い話が載ってるんだけど、やはり一番気になったのは作問に関して、何を評価するためのものかということ。

その記事はあくまで佐藤先生の一個人の体験談ってことわりがあるけど、とても参考になった。試験で評価するものは数学の力で、その数学の力として\(\small{ \ 4 \ }\)つの力が挙げてあった。

「読解分析力」「目標設定力」「翻訳力」「遂行力」

記事では、この\(\small{ \ 4 \ }\)つの力をさらに\(\small{ \ 3 \ }\)個ずつに細分化し合計\(\small{ \ 12 \ }\)個の力が紹介してある。そして、その力を評価するのがセンター試験や大学入試であると佐藤先生は話されている。

この記事を読んで、佐藤先生が考えている数学の力(センター試験で評価す力)「読解分析力」「目標設定力」「翻訳力」「遂行力」って共通テストにもそのまま通用すると思った。出題の仕方は異なるけど、数学の力を評価するってことはセンター試験も共通テストも同じだからね。

共通テストは問題作成の方針に「思考力」「判断力」「表現力」を中心に評価するっていわれてるけど、言い方が異なるだけ。

ただ、センター試験は受験テクニックで乗り越えられる部分があったから、そういう部分を共通テストでなくしていこうってこと。だから、公式の暗記ではなく公式を導けるようにしておきたいし、問題を複数のアプローチで解けるようにしておきたい。

また、教える側もこのあたりを常に意識して指導していくことで数学の力がついていくんだと思う。

point
このホームページは、生徒だけじゃなく、先生にも多く読んでもらっているから参考になればと思い書いてみました。僕が持っている入試の軌跡とは年度が違うから、佐藤先生の記事が載ってるかわからないけど紹介しておきます。この本の古い年の本には掲載されてたので、これにも載ってるんじゃないかと思うけど、保証はできません。

共通テストに向けて

共通テストがセンター試験より数学の力を評価するのに優れているかというと、個人的にはまだわからない。\(\small{ \ 1 \ }\)回目の試験を見ても、やはりわざわざ変更する必要があったのかと思ってしまう。(数学についてのことで他教科についてはノーコメント)

センター試験をやめて、「思考力」「判断力」「表現力」が評価できる試験だったかというとまだまだ改良の余地はあるしね。

と言っても始まってしまったものはしょうがない。\(\small{ \ 2 \ }\)回目になる次の共通テストでは、共通テストに変更して良かったと言えるような問題が出題されてほしいと思う。

みんなは共通テストに向けて、できることを一つ一つしていく必要がある。\(\small{ \ 2 \ }\)年目で難しくなるかもしれないけど、昨年よりは共通テスト対策の問題集も出版されて増えてるから、対策も立てやすい。

普段の勉強では、教科書で「まぁいいか」と流してたところを見直したり、公式を複数の方法で証明したり、問題集を解いたとき気にしてなかった別解に注目したりして、理解度を高めていこう。

難しい問題には、たくさん別解が存在しそうだけど、簡単な問題こそ、いろんな解法が思いつくようにしておきたい。自分のできることをしっかりとやって共通テストで高得点を取ろう!

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余事象と確率 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/yojisyo-kakuritsu/ Fri, 29 Oct 2021 12:04:08 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9299 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は余事象の利用について学習していこう。

余事象の便利さ

確率の基本性質で余事象を利用する場合、「少なくとも〜」って問題文に書いてあったら余事象を利用しようって話したけど、今回は余事象の便利さについて学習してみよう。

確率の問題を解く上で絶対に覚えてほしいテクニックの一つだからね。

余事象
\(\small{ \ P(\mathrm{A})=1-P(\overline{A}) \ }\)

「少なくとも」と余事象

余事象をいつ使えばいいのか?っていうと色々な場面があるけど、確実に注目したい文字に「少なくとも」って言葉がある。この言葉が問題文に書いてあったら余事象を考えるって思ってていい。

まずは簡単な問題で確認してみよう。

問題

コインを\(\small{ \ 5 \ }\)回投げて少なくとも\(\small{ \ 2 \ }\)回は表が出る確率を求めよ。

求める確率は「表が\(\small{ \ 2 \ }\)回裏が\(\small{ \ 3 \ }\)回出る確率」、「表が\(\small{ \ 3 \ }\)回裏が\(\small{ \ 2 \ }\)回出る確率」、「表が\(\small{ \ 4 \ }\)回裏が\(\small{ \ 1 \ }\)回出る確率」、「表が\(\small{ \ 5 \ }\)回裏が\(\small{ \ 0 \ }\)回出る確率」の\(\small{ \ 4 \ }\)つの場合で、これらは排反だから確率の和が答えになるよね。今回は答えの値を求めるんじゃなくて、この答えを出す手順について考えていこう。

表が\(\small{ \ k \ }\)回裏が\(\small{ \ 5-k \ }\)回出る確率を\(\small{ \ p_k \ }\)ってすると、求める確率は\(\small{ \ p_2+p_3+p_4+p_5 \ }\)になるよね。

確率\(\small{ \ p_k \ }\)は\(\small{ \ 5 \ }\)回中表が\(\small{ \ k \ }\)回裏が\(\small{ \ 5-k \ }\)回出る確率だから、反復試行の確率で、\(\small{ \ p_k={}_n\mathrm{C}_k \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^k\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{5-k} \ }\)になるよね。
だからこの式に\(\small{ \ k=2 \ }\)から\(\small{ \ k=5 \ }\)まで代入して足せば答えは出る。でもそれだと計算が大変だよね。

少しでも計算が楽な方法で解きたいよね。だから別な方法で考えてみよう。

全ての確率の和は\(\small{ \ 1 \ }\)になるから、\(\small{ \ p_0+p_1+p_2+p_3+p_4+p_5=1 \ }\)が言える。
つまり、\(\small{ \ p_2+p_3+p_4+p_5 \ }\)を求めるよりも、\(\small{ \ p_0+p_1 \ }\)を求めた方が簡単だよね。これが余事象を利用した求め方になるんだ。

答えを直接求めるんじゃなくて、答えじゃない確率を求めてそれを全体(\(\small{ \ 1 \ }\))から引けばいいって考え方だよね。こういう問題って割と多いから「少なくとも」って言葉を見たら余事象を利用しようって考えてほしい。

ちなみに、\(\small{ \ p_k \ }\)の式が立てられなかった人は以前の記事で復習しておこう。確率では反復試行の確率の式って確実におさえておきたい式になるからね。

CHECK
反復試行の確率-i
反復試行の確率

2つの事象の反復試行の確率や3つの事象の反復試行の確率について詳しく解説しています。

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受験生だったら
\(\small{ \ p_0+p_1+p_2+p_3+p_4+p_5=1 \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\sum_{k=0}^{5}p_k=\displaystyle\sum_{k=0}^{5}{}_n\mathrm{C}_k \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^k\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{5-k} \ }\)
で二項定理まで合わせてチェックしておこう。

CHECK
二項定理の証明-i
二項定理の証明

数学的帰納法を用いた二項定理の証明について詳しく解説しています。

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少なくともがない問題と余事象

もちろん「少なくとも」って書いてない問題でも余事象を利用した方が簡単な問題はある。次の問題だとどうかな。

問題

\(\small{ \ 5 \ }\)回に\(\small{ \ 1 \ }\)回の割合で帽子を忘れるくせのある\(\small{ \ \mathrm{K} \ }\)君が、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)を順に回って家に帰ったとき、どこかの家に帽子を忘れてきた確率を求めよ。

帽子を忘れてくる確率は「\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)で忘れる確率」、「\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)で忘れる確率」、「\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)で忘れる確率」の\(\small{ \ 3 \ }\)通りあるから、計算すると
\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{5}+ \displaystyle\frac{4}{5}\times\displaystyle\frac{1}{5}+\displaystyle\frac{4}{5}\times \displaystyle\frac{4}{5}\times\displaystyle\frac{1}{5}= \displaystyle\frac{61}{125} \ }\)
になる。

でもこれを余事象を利用して考えると、どこにも忘れない確率を求めればいいから、どこにも忘れない確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{5}\right)^3=\displaystyle\frac{64}{125} \ }\)
だからどこかに忘れる確率は\(\small{ \ 1-\displaystyle\frac{64}{125}=\displaystyle\frac{61}{125} \ }\)になる。

この問題みたいに、「少なくとも」って言葉がなくても余事象を利用できる問題もあるから注意しよう。

余事象を利用しない計算

さっきの問題だと余事象を利用しなくても、特に解けないってこともなかったよね。計算量もそこまで違いがなかったし。それじゃ次はもう少し難易度の高い問題で余事象を利用する解き方と利用しない解き方ではどれくらい計算量が変わるの確認してみよう。

ただ、この問題の余事象を利用しない計算には数列の和の計算が必要だから、まだ数列を習っていない人はこれ以降は読まなくても大丈夫。受験生や数列を既に教わっている人は最後まで読んでおこう。

問題

\(\small{ \ 9 \ }\)枚のカードに\(\small{ \ 1 \ }\)から\(\small{ \ 9 \ }\)までの数字が\(\small{ \ 1 \ }\)つずつ記してある。このカードの中から任意に\(\small{ \ 1 \ }\)枚を抜き出し、その数字を記録し、もとのカードの中に戻すという操作を\(\small{ \ n \ }\)回繰り返す。このとき記録された数の積が\(\small{ \ 10 \ }\)で割り切れる確率を求めよ。

問題文には「少なくとも」って書いてないけど、\(\small{ \ 10 \ }\)で割り切れるってことは「偶数と\(\small{ \ 5 \ }\)が少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回は出る」ってことだよね。
まずは余事象を利用して解いてみよう。

余事象の利用
少なくとも偶数が\(\small{ \ 1 \ }\)回出る事象を\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、少なくとも\(\small{ \ 5 \ }\)が\(\small{ \ 1 \ }\)回出る事象を\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)とすると、
求める確率は\(\small{ \ P\left(\mathrm{A\cap B}\right) \ }\)になる。
この余事象を考えると

\(\small{
P\left(\overline{\mathrm{A\cap B}}\right)=P\left(\overline{\mathrm{A}}\cup\overline{\mathrm{B}}\right)=P\left(\overline{\mathrm{A}}\right)+P\left(\overline{\mathrm{B}}\right)-P\left(\overline{\mathrm{A}}\cap\overline{\mathrm{B}}\right)}\)

ここで\(\small{ \ P\left(\overline{\mathrm{A}}\right) \ }\)は奇数しか出ない確率だから
\(\small{ \ P\left(\overline{\mathrm{A}}\right)=\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^n \ }\)
\(\small{ \ P\left(\overline{\mathrm{B}}\right) \ }\)は\(\small{ \ 5 \ }\)が出ない確率だから
\(\small{ \ P\left(\overline{\mathrm{B}}\right)=\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^n \ }\)

余事象とベン図

\(\small{ \ P\left(\overline{\mathrm{A}}\cap\overline{\mathrm{B}}\right) \ }\)は奇数かつ\(\small{ \ 5 \ }\)が出ない確率、つまり\(\small{ \ 1, \ 3, \ 7, \ 9 \ }\)しか出ない確率だから
\(\small{ \ P\left(\overline{\mathrm{A}}\cap\overline{\mathrm{B}}\right)=\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^n \ }\)
したがって
\(\small{
\begin{eqnarray}
P\left(\overline{\mathrm{A\cap B}}\right)&=&P\left(\overline{\mathrm{A}}\cup\overline{\mathrm{B}}\right)\\[3pt] &=&P\left(\overline{\mathrm{A}}\right)+P\left(\overline{\mathrm{B}}\right)-P\left(\overline{\mathrm{A}}\cap\overline{\mathrm{B}}\right)\\[3pt] &=&\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^n+\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^n-\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^n
\end{eqnarray}
\ }\)
よって求める確率は
\(\small{
\begin{eqnarray} P\left(\mathrm{A\cap B}\right)&=&1-P\left(\overline{\mathrm{A\cap B}}\right)\\[3pt] &=&1-\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^n-\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^n+\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^n\\[3pt] &=&\displaystyle\frac{9^n+4^n-5^n-8^n}{9^n}\end{eqnarray} }\)

次に余事象を利用しない方法で考えてみよう。
余事象を利用しない場合
\(\small{ \ 1 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)が出て、残りの\(\small{ \ n-1 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回偶数が出る確率は
\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-1}\right\} \ }\)
\(\small{ \ 1 \ }\)回目に偶数が出て、残りの\(\small{ \ n-1 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回\(\small{ \ 5 \ }\)が出る確率は
\(\small{ \ \displaystyle\frac{4}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-1}\right\} \ }\)
\(\small{ \ 1 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)以外の奇数が出て、\(\small{ \ 2 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)が出て、残りの\(\small{ \ n-2 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回偶数が出る確率は
\(\small{ \ \displaystyle\frac{4}{9}\cdot \displaystyle\frac{1}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{n-2}\right\} \ }\)
\(\small{ \ 1 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)以外の奇数が出て、\(\small{ \ 2 \ }\)回目に偶数が出て、残りの\(\small{ \ n-2 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回\(\small{ \ 5 \ }\)が出る確率は
\(\small{ \ \displaystyle\frac{4}{9}\cdot\displaystyle\frac{4}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-2}\right\} \ }\)
\(\small{ \ 1 \ }\)回目、\(\small{ \ 2 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)以外の奇数が出て、\(\small{ \ 3 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)が出て、残りの\(\small{ \ n-3 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回偶数が出る確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^2\cdot \displaystyle\frac{1}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{n-3}\right\} \ }\)
\(\small{ \ 1 \ }\)回目、\(\small{ \ 2 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)以外の奇数が出て、\(\small{ \ 3 \ }\)回目に偶数が出て、残りの\(\small{ \ n-3 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回\(\small{ \ 5 \ }\)が出る確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^2\cdot\displaystyle\frac{4}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-3}\right\} \ }\)
同様に
\(\small{ \ 1 \ }\)回目、\(\small{ \ 2 \ }\)回目、\(\small{ \ 3 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)以外の奇数が出て、\(\small{ \ 4 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)が出て、残りの\(\small{ \ n-4 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回偶数が出る確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^3\cdot \displaystyle\frac{1}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{n-4}\right\} \ }\)
\(\small{ \ 1 \ }\)回目、\(\small{ \ 2 \ }\)回目、\(\small{ \ 3 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)以外の奇数が出て、\(\small{ \ 4 \ }\)回目に偶数が出て、残りの\(\small{ \ n-4 \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回\(\small{ \ 5 \ }\)が出る確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^3\cdot\displaystyle\frac{4}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-4}\right\} \ }\)

これを一般化すると
初めから\(\small{ \ k \ }\)回連続で奇数が出て、\(\small{ \ k+1 \ }\)回目に\(\small{ \ 5 \ }\)が出て、残りの\(\small{ \ n-(k+1) \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回偶数が出る確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^k\cdot \displaystyle\frac{1}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{n-k-1}\right\} \ }\)
初めから\(\small{ \ k \ }\)回連続で奇数が出て、\(\small{ \ k+1 \ }\)回目に偶数が出て、残りの\(\small{ \ n-(k+1) \ }\)回で少なくとも\(\small{ \ 1 \ }\)回\(\small{ \ 5 \ }\)が出る確率は
\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^k\cdot \displaystyle\frac{4}{9}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-k-1}\right\} \ }\)

よって求める確率は

\(\small{ \ \displaystyle\sum_{k=0}^{n-2}
\left[ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k} \cdot \displaystyle\frac{1}{9} \left\{1- \left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-k-1}\right\}+ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k} \cdot \displaystyle\frac{4}{9}\left\{1- \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-k-1}\right\}\right]}\)

これは

\(\small{ \ \displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}
\left[ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1} \cdot \displaystyle\frac{1}{9} \left\{1- \left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-k}\right\}+ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1} \cdot \displaystyle\frac{4}{9}\left\{1- \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-k}\right\}\right] \ }\)

と同じだから

\(\small{ \ \displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}
\left[ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1} \cdot \displaystyle\frac{1}{9} \left\{1- \left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-k}\right\}+ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1} \cdot \displaystyle\frac{4}{9}\left\{1- \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-k}\right\}\right] \\[3pt] =\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1} \left\{ \displaystyle\frac{5}{9}\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1}-\displaystyle\frac{1}{9}\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1}\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-k}- \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^k \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-k}\right\}\\[3pt] = \displaystyle\sum_{k=1}^{n-1} \left\{ \displaystyle\frac{5}{9}\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1}- \displaystyle\frac{1}{9}\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-1} \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{k-1}- \displaystyle\frac{4}{9}\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-1} \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{k-1}\right\}\\[3pt] = \displaystyle\frac{5}{9} \cdot \displaystyle\frac{1- \left(\frac{4}{9}\right)^{n-1}}{1-\frac{4}{9}}-\displaystyle\frac{1}{9}\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^{n-1}\cdot \displaystyle\frac{1- \left(\frac{4}{5}\right)^{n-1}}{1-\frac{4}{5}}- \displaystyle\frac{4}{9}\left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^{n-1}\cdot \displaystyle\frac{1- \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}}{1-\frac{1}{2}}\\[3pt] =1- \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{n-1}-\left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^n \left\{1- \left(\displaystyle\frac{4}{5}\right)^{n-1}\right\}- \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^n \left\{1- \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\right\}\\[3pt] =1- \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^{n-1}- \left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^n+ \displaystyle\frac{5}{4}\left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^n- \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^n+2 \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^n\\[3pt] =1- \left(\displaystyle\frac{5}{9}\right)^n- \left(\displaystyle\frac{8}{9}\right)^n+ \left(\displaystyle\frac{4}{9}\right)^n\\[3pt] =\displaystyle\frac{9^n+4^n-5^n-8^n}{9^n} \ }\)

当然余事象を使っても使わなくても答えは同じになるけど、余事象を使わないと計算がすごく大変ってことがわかるよね。確率を直接求めるのが大変だったら、余事象を考えてみよう。

例題を確認
問題解答

\(\small{ \ n \ }\)人の人がいる。この\(\small{ \ n \ }\)人の中に誕生月が同じ人がいる確率が\(\small{ \ 0.5 \ }\)より大きくなる最小の\(\small{ \ n \ }\)の値を求めよ。ただし、\(\small{ \ n\lt12 \ }\)である。

余事象を考える。
誕生月が同じでない確率は

\(\small{ \ \displaystyle\frac{12}{12}\times \displaystyle\frac{11}{12}\times \displaystyle\frac{10}{12}\times \cdots \times \displaystyle\frac{12-(n-1)}{12}= \displaystyle\frac{{}_{12}\mathrm{P}_{n}}{12^{n}} \ }\)

\(\small{ \ 1-\displaystyle\frac{{}_{12}\mathrm{P}_{n}}{12^{n}} \gt 0.5 \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\frac{{}_{12}\mathrm{P}_{n}}{12^{n}} \lt 0.5 \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\frac{12!}{12^{n}(12-n)!} \lt 0.5 \ }\)
\(\small{ \ n \ }\)は整数であるから、
\(\small{ \ n=4 \ }\)のとき\(\small{ \ \displaystyle\frac{12!}{12^{4}(12-4)!}=0.5729\cdots \ }\)
\(\small{ \ n=5 \ }\)のとき\(\small{ \ \displaystyle\frac{12!}{12^{5}(12-5)!}=0.3819\cdots \ }\)
よって、確率が\(\small{ \ 0.5 \ }\)より大きくなる最小の人数は\(\small{ \ 5 \ }\)人である。

point
この問題でも、もちろん余事象を利用せずに答えを求めることは可能だけど、めちゃくちゃ大変だからね。数学の試験は、ただ解けるだけじゃダメ。時間内に解けるってことも大切だから、少しでも簡単に計算できる方法を考えよう。

余事象と確率

①「少なくとも」を見たら余事象を考える。
②確率の計算が大変な場合も余事象を考えてみる。

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答1解答2

数直線上を原点から出発して次のように駒を動かしていく。各目の出る確率の等しい際うころを\(\small{ \ 1 \ }\)個投げて、\(\small{ \ 1,2 \ }\)が出たときは正の方向へ\(\small{ \ 1 \ }\)だけ動かし、\(\small{ \ 3 ,4, 5, 6 \ }\)が出たときは正の方向へ\(\small{ \ 2 \ }\)動かす。このとき、点\(\small{ \ n \ }\)に止まる確率を\(\small{ \ p_n(n=1, 2,\cdots) \ }\)を\(\small{ \ n \ }\)で表せ。

点\(\small{ \ n \ }\)に止まるのは、点\(\small{ \ n-1 \ }\)に止まって\(\small{ \ 1,2 \ }\)が出るときか、点\(\small{ \ n-2 \ }\)に止まって\(\small{ \ 3 ,4, 5, 6 \ }\)が出るときであるから
\(\small{ \ p_n=\displaystyle\frac{1}{3}p_{n-1}+\displaystyle\frac{2}{3}p_{n-2} \ }\)
が成り立つ。
これを変形すると
\(\small{ \ p_n-p_{n-1}=-\displaystyle\frac{2}{3}(p_{n-1}+p_{n-2}) \ }\)
\(\small{ \ p_1= \displaystyle\frac{1}{3} \ }\)
\(\small{ \ p_2= \left(\displaystyle\frac{1}{3}\right)^2+ \displaystyle\frac{2}{3}= \displaystyle\frac{7}{9} \ }\)
\(\small{
\begin{eqnarray}
p_{n+1}-p_n &=&(p_2-p_1)\left(-\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{n-1}\\[3pt] &=&\displaystyle\frac{4}{9}\left(-\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{n-1}
\end{eqnarray}
\ }\)
\(\small{ \ n\geqq2 \ }\)のとき
\(\small{
\begin{eqnarray}
p_n&=&p_1+ \displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}\displaystyle\frac{4}{9}\left(-\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{k-1}\\[3pt] &=&\displaystyle\frac{1}{3}+ \displaystyle\frac{4}{9}\cdot\displaystyle\frac{1-\left(-\frac{2}{3}\right)^{n-1}}{1+\frac{2}{3}} \\[3pt] &=&\displaystyle\frac{3}{5}- \displaystyle\frac{4}{15}\left(-\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{n-1}
\end{eqnarray}
\ }\)
これは\(\small{ \ n=1 \ }\)のときも成り立つ。

点\(\small{ \ n \ }\)に止まらない確率は\(\small{ \ 1-p_n \ }\)
点\(\small{ \ n \ }\)に止まらないのは点\(\small{ \ n-1 \ }\)に止まって\(\small{ \ 3 ,4, 5, 6 \ }\)が出るときであるから
\(\small{ \ 1-p_n= \displaystyle\frac{2}{3}p_{n-1} \ }\)
\(\small{ \ p_n=- \displaystyle\frac{2}{3}+1 \ }\)
これを変形して
\(\small{
\begin{eqnarray}
p_n- \displaystyle\frac{3}{5}&=&-\displaystyle\frac{2}{3}\left(p_{n-1}-\displaystyle\frac{3}{5}\right)\\[3pt] &=&\left(p_1-\displaystyle\frac{3}{5}\right)\left(-\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{n-1} \end{eqnarray}}\)
\(\small{ \ p_1= \displaystyle\frac{1}{3} \ }\)より\(\small{ \ p_n=\displaystyle\frac{3}{5}- \displaystyle\frac{4}{15}\left(-\displaystyle\frac{2}{3}\right)^{n-1} \ }\)

point
解答1は直接求めるやり方で、解答2が余事象を使った求め方なんだけど、解答2の方が計算量は少ない。でもほとんどの人が解答1で解くような問題だから、解答2で解く必要はない問題だから解答2が思いつかなかったとしても問題ないけどね。でも、確率の計算は常に「余事象だったら」って頭の片隅に入れておこう。また、確率と漸化式については別な記事で紹介するけど、漸化式の解き方を忘れている人は復習しておこう。
CHECK
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隣接三項間漸化式

特性方程式の作り方から解の値によって異なる解き方などについて詳しく解説しています。

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等比数列と特性方程式を利用する隣接二項間漸化式

特性方程式がなぜ成り立つのかなどの疑問について詳しく解説しています。

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原因の確率 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/genin-kakuritsu/ Wed, 27 Oct 2021 02:20:37 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9183 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は原因の確率について学習していこう。

原因の確率とは

原因の確率って言われる問題がある。これは条件付き確率の問題の中の1つなんだけど、条件付き確率の問題の中でも、比較的苦手としている人が多いと言われる問題なんだ。

教科書には原因の確率なんて書いてないけど、色々な問題集には取り上げられているから、今回の記事できちんと理解して解けるようにしよう。

原因の確率

・原因の確率
ある事象が起こったという結果から、この結果をもたらした原因がどの事象によるものであるかの確率

事象\(\small{ \ A \ }\)が起こった原因が事象\(\small{ \ B \ }\)である確率
\(\small{ \ P_A(B)=\displaystyle\frac{P(A\cap B)}{P(A)} \ }\)

・ベイズの定理覚える必要なし!
\(\small{ \ P_E(A_i)=\displaystyle\frac{P(A_i)P_{A_i}(E)}{\displaystyle\sum_{k=1}^{n}P(A_k)P_{A_k}(E)} \ }\)

原因の確率

原因の確率とは「ある事象が起こったという結果から、この結果をもたらした原因がどの事象によるものであるかの確率」のことで、これだけ聞くと「?」ってなるよね。

今回は次の問題で原因の確率を理解していこう。

問題を確認

同一の製品を作っている\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)の\(\small{ \ 4 \ }\)つの機械がある。\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)は全製品のそれぞれ\(\small{ \ 10 \ }\)%、\(\small{ \ 20 \ }\)%、\(\small{ \ 30 \ }\)%、\(\small{ \ 40 \ }\)%を生産し、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)の製品の不良品の割合は、それぞれ\(\small{ \ a \ }\)%、\(\small{ \ b \ }\)%、\(\small{ \ c \ }\)%、\(\small{ \ d \ }\)%であるとする。いま、全製品の中から\(\small{ \ 1 \ }\)個の製品をとり出したとき、それが不良品であったという。この製品が\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)の機械から生産された確率を求めよ。

問題集で見たことあるような問題だよね。でもこの問題を苦手にしている生徒は割と多い。理解している人には大したことないかもしれないけど、どうしてこの問題が苦手なのか考えてみよう。

普通は「原因によって結果が生じる」って考えるけど、原因の確率は「結果がどの原因によるのか求める」つまり時間的順序が逆になっているところが理解しずらいところになるんだ。

上の問題なら、\(\small{ \ 1 \ }\)個取り出した製品が「\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)の機械で生産された不良品である」確率なら簡単に考えられる。
でも、取り出した製品が「不良品」で「\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)の機械で生産されたもの」と時間的順序が逆になっているところが難しく感じるところなんだ。

でも実際は時間的順序は気にしなくてもいい
単に全事象を
\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)で生産された良品・不良品、
\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)で生産された良品・不良品、
\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)で生産された良品・不良品、
\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)で生産された良品・不良品の
\(\small{ \ 8 \ }\)つの排反に分かれた部分集合から、

\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)で生産された不良品、
\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)で生産された不良品、
\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)で生産された不良品、
\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)で生産された不良品の
\(\small{ \ 4 \ }\)つに分かれた部分集合取り直せばいいんだ。

ある事象(不良品をとる)が起こったという結果が条件として与えられ、この結果をもたらした原因がどの事象によるものであるか(\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)の機械で作られた)の確率が原因の確率だからね。

結果が条件」ってところが難しく感じる部分だけど、結果を書き出してしまえば、普通の条件付き確率と同じ。

だから、この問題を解くと次のようになる。

解答を確認

不良品である事象を\(\small{ \ E \ }\)、製品が機械\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)で生産されたという事象をそれぞれ\(\small{ \ A \ }\)、\(\small{ \ B \ }\)、\(\small{ \ C \ }\)、\(\small{ \ D \ }\)とすると不良品である確率\(\small{ \ P(E) \ }\)は
 

\(\small{\begin{eqnarray} P(E)&=&P(A\cap E)+P(B\cap E)+P(C\cap E)+P(D\cap E)\\[3pt] &=&\displaystyle\frac{10}{100}\times \displaystyle\frac{a}{100}+\displaystyle\frac{20}{100}\times \displaystyle\frac{b}{100}+\displaystyle\frac{30}{100}\times \displaystyle\frac{c}{100}+\displaystyle\frac{40}{100}\times \displaystyle\frac{d}{100}\\[3pt] &=&0.001a+0.002b+0.003c+0.004d \end{eqnarray}}\)

よって求める確率\(\small{ \ P_E(A) \ }\)は
 

\(\small{\begin{eqnarray} P_E(A)&=&\displaystyle\frac{P(A\cap E)}{P(E)}\\[5pt] &=&\displaystyle\frac{0.001a}{0.001a+0.002b+0.003c+0.004d}\\[3pt] &=&\displaystyle\frac{a}{a+2b+3c+4d}\end{eqnarray} \ }\)

point
「不良品である確率」は「\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)の不良品である確率」「\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)の不良品である確率」「\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)の不良品である確率」「\(\small{ \ \mathrm{D} \ }\)の不良品である確率」の和を求めればいいよね。この\(\small{ \ 4 \ }\)つは排反だからね。

ベイズの定理

上の原因の確率で利用した条件付き確率の式

\(\small{ \ P_E(A)=\displaystyle\frac{P(A)P_A(E)}{P(A\cap E)+P(B\cap E)+P(C\cap E)+P(D\cap E)} \ }\)

が成り立つよね。

この式の分母は確率の乗法定理\(\small{ \ P(A)P_{A}(E)=P(A \cap E) \ }\)を使うと、

\(\small{ \ P_E(A)=\displaystyle\frac{P(A)P_A(E)}{P(A)P_A(E)+P(B)P_B(E)+P(C)P_C(E)+P(D)P_D(E)} \ }\)

って書ける。

これを一般化すると、互いに排反する事象\(\small{ \ A_1、A_2、\cdots、A_n \ }\)のどれか\(\small{ \ 1 \ }\)つが必ず起こり、これを原因として事象\(\small{ \ E \ }\)が起こったとき、\(\small{ \ E \ }\)が起こった原因が\(\small{ \ A_i \ }\)である確率は

\(\small{ \ P_E(A_i)=\displaystyle\frac{P(A_i)P_{A_i}(E)}{P(A_1)P_{A_1}(E)+P(A_2)P_{A_2}(E)+\cdots P(A_n)P_{A_n}(E)} \ }\)

\(\small{ \ =\displaystyle\frac{P(A_i)P_{A_i}(E)}{\displaystyle\sum_{k=1}^{n}P(A_k)P_{A_k}(E)} \ }\)になる。

これをベイズの定理って言ったりもする。教科書には載ってないけど、網羅系参考書には掲載されている。原因の確率とあわせて掲載されていることが多い。

でもこの定理自体、特に覚える必要はないかな。だってこれって条件付き確率そのものの式だし、この定理知らないからといって解けない問題もないからね。

詳しく考え出すと、\(\small{ \ P_E(A_i) \ }\)は\(\small{ \ E \ }\)という結果が起こった条件のもとで、原因となる事象\(\small{ \ A_i \ }\)が起こる確率だから事後確率って言ったり、\(\small{ \ P(A_i) \ }\)を事象\(\small{ \ A_i \ }\)の事前確率って言ったりもする。でも、こんな言葉覚えなくても大丈夫。

ただ、ここで紹介したのは、問題集を自分で解いたときに出てきたら、覚えないといけないのかなって思わないでほしいってことを伝えたかっただけなんだ。特に覚えなくても困らないから安心してほしい。

原因の確率(条件に結果が与えられている条件付き確率)がきちんと解ければ問題ない。定理って書いてあると絶対覚えないとって思うかもしれないけど、覚えておかなくて大丈夫だからね。

例題を確認
問題解答

\(\small{ \ 5 \ }\)回に\(\small{ \ 1 \ }\)回の割合で帽子を忘れるくせのある\(\small{ \ \mathrm{K} \ }\)君が、正月に\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)軒を順に年始回りをして家に帰ったとき、帽子を忘れてきたことに気がついた。\(\small{ \ 2 \ }\)軒目の家\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)に忘れてきた確率を求めよ。

帽子をどこにも忘れない確率は\(\small{ \ \left(\displaystyle\frac{4}{5}\right)^3 \ }\)
よって、どこかの家に帽子を忘れた確率は
\(\small{ \ 1-\left(\displaystyle\frac{4}{5}\right)^3=\displaystyle\frac{61}{125} \ }\)
家\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)で忘れず、家\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)で忘れた確率は \(\small{ \ \displaystyle\frac{4}{5}\times\displaystyle\frac{1}{5}=\displaystyle\frac{4}{25} \ }\)
よって、帽子を忘れたことに気づき、それが家\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)である確率は\(\small{ \ \displaystyle\frac{\displaystyle\frac{4}{25}}{\displaystyle\frac{61}{125}}=\displaystyle\frac{20}{61} \ }\)

point
どこかの家に帽子を忘れた確率は、家\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)に忘れる確率+家\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)に忘れる確率(\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)に忘れないで)+家\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)に忘れる確率(\(\small{ \ \mathrm{A},\mathrm{B} \ }\)に忘れないで)って計算してもいいけど、余事象を使った方が簡単だよね。

Point 原因の確率

①時間的順序は気にしない。
②全事象を条件(与えられた結果)に取り直す。

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答

ある病原菌の検査試薬は、その病原菌に感染している個体に対し誤って陰性反応を示す確率が\(\small{ \ \displaystyle\frac{3}{100} \ }\)であり、感染していない個体に対し誤って陽性反応を示す確率が \(\small{ \ \displaystyle\frac{3}{100} \ }\) である。ある集団にこの試薬で病原菌の検査を行い、全体の \(\small{ \ 4 \ }\) %が陽性反応を示したとき、次の問に答えよ。
(1)病原菌に感染している個体が陽性反応を示す確率を求めよ。
(2)この集団から\(\small{ \ 1 \ }\)つの個体を取り出すとき、その個体が病原菌に感染している確率を求めよ。
(3)この集団の中で陽性反応を示した個体が、実際は病原菌に感染していない確率を求めよ。

病原体に感染しているという事象を\(\small{ \ E \ }\)、陽性と判定されるという事象を \(\small{ \ F \ }\)とすると\(\small{ \ P(F)=\displaystyle\frac{4}{100} \ }\)、\(\small{ \ P(\overline{F})=\displaystyle\frac{96}{100} \ }\)、\(\small{ \ P_{E}(F)=\displaystyle\frac{97}{100} \ }\)
\(\small{ \ P_{E}(\overline{F})=\displaystyle\frac{3}{100} \ }\)、 \(\small{ \ P_{\overline{E}}(F)=\displaystyle\frac{1}{100} \ }\)、\(\small{ \ P_{\overline{E}}(\overline{F})=\displaystyle\frac{99}{100} \ }\)

(1)求める確率は\(\small{ \ P_{E}(F) \ }\)であるから,\(\small{ \ P_{E}(F)=\displaystyle\frac{97}{100} \ }\)

(2)求める確率は\(\small{ \ P(E) \ }\)である。
この確率を\(\small{ \ a \ (0\lt a\lt 1) \ }\)とすると、
\(\small{ \ P_{E}(F) \ }\)で
\(\small{\begin{eqnarray}P(F)&=&P(E \cap F)+P(\overline{E} \cap F)\\
&=&P(E) P_{E}(F)+P(\overline{E}) P_{\overline{E}}(F)\end{eqnarray}}\)
\(\small{ \ \displaystyle\frac{4}{100}=p \cdot \displaystyle\frac{97}{100}+(1-p) \cdot \frac{1}{100} \ }\)
\(\small{ \ 4=97 p+(1-p) \ }\)
\(\small{ \ p=\displaystyle\frac{1}{32} \ }\)

(3)陽性反応を示した個体が、実際は病原菌に感染していない条件付き確率は\(\small{ \ P_{\mathrm{F}}(\overline{E}) \ }\)であるから
\(\small{ \ P_{\mathrm{F}}(\overline{E})=\displaystyle\frac{P(F \cap E)}{P(F)}=\displaystyle\frac{\frac{1}{100} \cdot(1-p)}{\frac{4}{100}}=\displaystyle\frac{1-p}{4}=\displaystyle\frac{31}{128} \ }\)

point
この問題もカルノー図を使って考えると簡単に計算できる。上の解答を視覚的に考えることができるからね。
原因の確率とカルノー図

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条件付き確率 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/jyoukentsuki-kakuritsu/ Sun, 24 Oct 2021 05:39:38 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9137 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は条件付き確率について学習していこう。

条件付き確率

条件付き確率は名前の通り、「条件の付いた確率」のこと。

条件って言うとなんか難しい感じがするけど、そんなことなくて「事象\(\small{ \ A \ }\)が起こるとき事象\(\small{ \ B \ }\)が起こる確率\(\small{ \ P_A(B) \ }\)」の場合、「事象\(\small{ \ A \ }\)が起こるとき」っていうのが条件になる。

今回は条件付き確率の理解と、どんな問題文が条件付き確率になっているのかなど、条件付き確率の基本事項をおさえていこう。

条件付き確率

\(\small{ \ P_A(B)=\displaystyle\frac{P(A\cap B)}{P(A)} \ }\)
\(\small{ \ P_A(B)=\displaystyle\frac{n(A\cap B)}{n(A)} \ }\)

条件付き確率の試行と事象

一般に\(\small{ \ 1 \ }\)つの試行における\(\small{ \ 2 \ }\)つの事象\(\small{ \ A \ }\)と\(\small{ \ B \ }\)について、事象\(\small{ \ A \ }\)が起こったとして、そのときに事象\(\small{ \ B \ }\)が起こる確率を、\(\small{ \ A \ }\)が起こったときの\(\small{ \ B \ }\)が起こる条件付き確率というんだ。この確率を記号で\(\small{ \ P_A(B) \ }\)って書く。

この\(\small{ \ 1 \ }\)つの試行ってことが大切で、独立した試行が\(\small{ \ 2 \ }\)つあると、それぞれの結果の事象は独立になるから、条件付き確率の問題にならないんだ。

確率の試行と事象については、下の記事を読んで確認しておこう。

「事象\(\small{ \ A \ }\)が起こるときの事象\(\small{ \ B \ }\)が起こる確率」が条件付き確率で、これは事象\(\small{ \ A \ }\)が起こる場合を全事象としたとき、事象\(\small{ \ B \ }\)の起こる確率だから、\(\small{ \ P_A(B)= \displaystyle\frac{n(A \cap B)}{n(A)} \ }\)になる。

これを全事象\(\small{ \ n(U) \ }\)で割ると\(\small{ \ P_A(B)=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{n(A\cap B)}{n(U)}}{\displaystyle\frac{n(A)}{n(U)}}= \displaystyle\frac{P(A\cap B)}{P(A)} \ }\)ってなるから、「事象\(\small{ \ A \ }\)と事象\(\small{ \ B \ }\)が同時に起こる確率\(\small{ \ P(A\cap B) \ }\)」を「事象\(\small{ \ A \ }\)が起こる確率\(\small{ \ P(A) \ }\)」で割ればいいんだ。これが\(\small{ \ A \ }\)が起こったときの\(\small{ \ B \ }\)が起こる条件付き確率の値になる。

勘違いしやすい問題文

条件付き確率の計算方法がわかったけど、これだけじゃだめなんだ。どの問題が条件付き確率なのかわからないといけない。だって問題文には「条件付き確率を求めよ。」とは書いていない。条件付き確率の問題も普通の確率の問題と同じ様に「〜である確率を求めよ。」って書いてあるんだ。だから問題文を読んでこの問題は条件付き確率の問題だって自分で判断する必要がある。

条件付き確率の問題文を「〇〇〇のとき、△△△である確率」って覚えている人も多いと思う。それじゃ次の\(\small{ \ 2 \ }\)つの問題を見てみよう。

当たりくじ\(\small{ \ 4 \ }\)本を含む\(\small{ \ 20 \ }\)本のくじがある。引いたくじはもとに戻さないものとして、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)の\(\small{ \ 2 \ }\)人がこの順に1本ずつくじを引く。
(1)\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)が当たりを引いたとき、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)が当たりを引く確率を求めよ。
(2)\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)の後に\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)がくじを引いたとき、はずれる確率を求めよ。

(1)も(2)も「〇〇〇のとき、△△△である確率」の形になっているよね。でもきちんと確認すると(1)の〇〇〇のとき、は「\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)が当たりを引いたとき」って事象を表しているよね。それに対して(2)は「\(\small{ \ \mathrm{C} \ }\)がくじを引いたとき」って試行を表している。
条件付き確率の「〇〇〇のとき」は事象を表すから、(1)は条件付き確率の問題、(2)は単純な確率の問題になるんだ。

きちんと理解している人には大したことない問題かもしれないけど、大切なことだから、上にあるリンク先の記事「確率における独立」を読んでいない人は一度読んで試行と事象について確認しておこう。

例題を確認
問題解答

血液型が\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)型、\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)型である\(\small{ \ 100 \ }\)人を調べると、男子\(\small{ \ 60 \ }\)人、女子\(\small{ \ 40 \ }\)人で、\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)型は男子\(\small{ \ 35 \ }\)人、女子\(\small{ \ 14 \ }\)人であった。次の確率を求めよ。
(1) 選ばれた\(\small{ \ 1 \ }\)人が女子のとき、その人が\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)型である確率
(2) 選ばれた\(\small{ \ 1 \ }\)人が\(\small{ \ \mathrm{B} \ }\)型のとき、その人が男子である確率

女子である事象を\(\small{ \ E \ }\)、血液型が\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)型である事象を\(\small{ \ F \ }\)とする。
(1)求める確率は
\(\small{ \ P_E(F)= \displaystyle\frac{P(E\cap F)}{P(E)}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{14}{100}}{\displaystyle\frac{40}{100}}=\displaystyle\frac{7}{20} \ }\)

(2)求める確率は
\(\small{ \ P_{\overline{F}}(\overline{E})=\displaystyle\frac{P(\overline{F}\cap \overline{E})}{P(\overline{F})}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{25}{100}}{\displaystyle\frac{51}{100}}=\displaystyle\frac{25}{51} \ }\)

条件付き確率とベン図とカルノー図

条件付き確率を考えるとき視覚的にベン図やカルノー図を利用することで確率がわかりやすくなる。これについては下の記事を確認しておこう。

さっきの例題をカルノー図で書くと次のようになる。与えられた情報は黒字の部分だけど、黒字の部分から赤字の部分もすぐに調べることができるよね。こうなると問題はあっさり解ける。

男子\(\small{ \ 60 \ }\)人、女子\(\small{ \ 40 \ }\)人の合計\(\small{ \ 100 \ }\)人
\(\small{\mathrm{A} \ }\)型は男子\(\small{ \ 35 \ }\)人、女子\(\small{ \ 14 \ }\)人
女子が選ばれる事象を\(\small{ \ E \ }\)
血液型が\(\small{ \ \mathrm{A} \ }\)型である事象を\(\small{ \ F \ }\)
としてカルノー図をかくと

条件付き確率とカルノー図

上のカルノー図は確率じゃなくて要素の個数を書いたけど、欄に確率を記入する場合は、次のように書けるから覚えておこう。

条件付き確率とカルノー図の書き方

Point 条件付き確率

①条件付き確率の計算式\(\small{ \ P_E(F)= \displaystyle\frac{P(E\cap F)}{P(E)} \ }\)を覚える。
②問題が条件付き確率の問題か判断できるようにする。
③カルノー図を書ける様にする。

次は入試レベルの問題にチャレンジ!
入試レベルにチャレンジ
問題解答1解答2

胎児の性別を判定するための検査法がある。この検査法は、
・産まれてくる子どもの性別が男の場合、男と判定する確率が\(\small{ \ \displaystyle\frac{17}{20} \ }\)
・産まれてくる子どもの性別が女の場合、女と判定する確率が\(\small{ \ \displaystyle\frac{3}{4} \ }\)
・検査結果は、男か女かのいずれか
であるとする。以下の問いに答えよ。ただし、産まれてくる子どもの性別が男である確率と女である確率は等しいとする。
(1)産まれてくる子どもの性別が女であるとき、誤って男と判定される確率を求めよ。
(2)検査結果が男である確率を求めよ。
(3)検査結果が男である場合と女である場合とでは、どちらがより高い確率で正しいか答えよ。

(1)産まれてくる子どもの性別が女であるとき、女と判定する確率が\(\small{ \ \displaystyle\frac{3}{4} \ }\)であるから、誤って男と判定される確率は、
\(\small{ \ 1-\displaystyle\frac{3}{4}=\displaystyle\frac{1}{4} \ }\)

(2)検査結果が男であるのは、次の場合である。
(i)産まれてくる子ともの性別が男であり、検査結果が男である場合。
(ii)産まれてくる子どもの性別が女であり、検査結果が男である場合。
よって、求める確率は
\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{17}{20}+\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{1}{4}=\displaystyle\frac{11}{20} \ }\)

(3)検査結果が男であるとき、産まれてくる子どもの性別が男である条件付き確率は、(2)より、
\(\small{ \ \displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{17}{20}}{\displaystyle\frac{11}{20}}=\displaystyle\frac{17}{22}\cdots① \ }\)
また、検査結果が女である確率は、(2)と同様に考えて、
\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{2}\times\left(1-\displaystyle\frac{17}{20}\right)+\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{3}{4}=\displaystyle\frac{9}{20} \ }\)
であるから、検査結果が女であるとき、産まれてくる子どもの性別が女である条件付き確率は
\(\small{ \ \displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{3}{4}}{\displaystyle\frac{9}{20}}=\displaystyle\frac{5}{6}\cdots② \ }\)
①、②より、検査結果が女である場合の方が男である場合より高い確率で正しい。

産まれてくる子どもの性別が男である事象を\(\small{ \ E \ }\)、検査結果が男である事象を\(\small{ \ F \ }\)として、カルノー図を書くと次のようになる。
条件付き確率とカルノー図-2
(1)産まれてくる子どもの性別が女であるとき、誤って男と判定される確率は、
\(\small{ \ P_{\overline{E}}(F)=\displaystyle\frac{P(\overline{E}\cap F)}{P(\overline{E})}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{1}{4}}{\displaystyle\frac{1}{2}}=\displaystyle\frac{1}{4} \ }\)

(2)検査結果が男である確率は
\(\small{ \ P(F)=\displaystyle\frac{11}{20} \ }\)

(3)検査結果が男であるとき、産まれてくる子どもの性別が男である条件付き確率は
\(\small{ \ P_F(E)=\displaystyle\frac{P(E\cap F)}{P(F)}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{17}{20}}{\displaystyle\frac{11}{20}}=\displaystyle\frac{17}{22} \ }\)

検査結果が女であるとき、産まれてくる子どもの性別が女である条件付き確率は
\(\small{ \ P_\overline{F}(\overline{E})=\displaystyle\frac{P(\overline{E}\cap \overline{F})}{P(\overline{F})}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{2}\times\displaystyle\frac{3}{4}}{\displaystyle\frac{9}{20}}=\displaystyle\frac{5}{6} \ }\)
よって、検査結果が女である場合の方が男である場合より高い確率で正しい。

point
例題レベルの問題が入試問題として出題されることも珍しくない。

カルノー図がなくても解けるけど、視覚的に考えやすくなるし、計算もしやすい。カルノー図が書けた時点で大体の計算が終わってるからね。色々な条件付き確率の問題にカルノー図を取り入れてみよう。

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カルノー図 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/karuno-zu/ Fri, 15 Oct 2021 02:10:32 +0000 https://xn--48s96ub7b0z5f.net/?p=9089 Copyright © 2024 高校数学.net All Rights Reserved.

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こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回はカルノー図とベン図について学習していこう。

カルノー図とは

論理式を簡単に示すための図で、モーリス・カルノーが発明した図だから、その名前をとってカルノー図って呼ばれているんだ。

これを論理式ではなくて、高校数学の確率に利用してみようっていうのが今回の記事になる。どうしてカルノー図を利用するかというと、このあと学習する条件付き確率を考えるときにベン図より視覚的に見やすいから。

学校の先生でも条件付き確率のときにカルノー図を利用する先生も割と多いと思う。

絶対に使わないと解けないなんてことはないから、必ず使う必要はないんだけど、そんなに難しくもないから、この記事を読んで使えるようになろう。

カルノー図

\(\small{ \ 2 \ }\)つの事象のとき
2つのカルノー図

\(\small{ \ 3 \ }\)つの事象のとき
3つのカルノー図

ベン図とカルノー図

高校数学の教科書にはベン図が使われている。ベン図については下の記事で確認しておこう。

\(\small{ \ 2 \ }\)つの集合\(\small{ \ A \ }\)と\(\small{ \ B \ }\)があるとき、その部分集合は「集合\(\small{ \ A \ }\)に含まれているか含まれていないか」「集合\(\small{ \ B \ }\)に含まれているか含まれていないか」に分けられるよね。

つまり\(\small{ \ A \cap B \ }\)、\(\small{ \ A \cap \overline{B} \ }\)、\(\small{ \ \overline{A} \cap B \ }\)、\(\small{ \ \overline{A} \cap \overline{B} \ }\)の\(\small{ \ 4 \ }\)つに分けられる。

これをベン図とカルノー図で書くとそれぞれ下のようになる。どっちが見やすいかな?

ベン図
2つの事象のベン図

カルノー図
2つのカルノー図

人それぞれで、どっちも大差ないって言う人もいるかと思うけど、条件付き確率を考えるときはカルノー図の方が使いやすかったりするんだ。

条件付き確率の求める答えは\(\small{ \ P_A(B)=\displaystyle\frac{P(A\cap B)}{P(A)}=\displaystyle\frac{n(A\cap B)}{n(A)} \ }\)になるから必要な部分がわかりやすくなるってこともあるし、数値を書き込んだときカルノー図は見やすいってこともある。

カルノー図を書いてみよう

それじゃ次にカルノー図を書いてみて、視覚的にわかりやすいか確認してみよう。
教科書にあるような次の問題のカルノー図を書いてみよう。

\(\small{ \ 60 \ }\)人の生徒に数学マークと数学記述の試験を行った。数学マークの合格者は\(\small{ \ 50 \ }\)人、数学記述の合格者は\(\small{ \ 30 \ }\)人、\(\small{ \ 2 \ }\)つとも不合格であった者は\(\small{ \ 8 \ }\)人であった。
(1)\(\small{ \ 2 \ }\)つとも合格した者は何人か。
(2)数学マークだけ合格した者は何人か。
(3)数学記述だけ合格した者は何人か。

ベン図を利用して(特に利用しなくても解けるけど、視覚的にあったほうがいいよね)解くと
\(\small{ \ n(U)=60 \ }\)
\(\small{ \ n(A)=50 \ }\) (\(\small{ \ A \ }\)は数学マーク)
\(\small{ \ n(B)=30 \ }\) (\(\small{ \ B \ }\)は数学記述)
\(\small{ \ n(\overline{A}\cap \overline{B})=8 \ }\)
\(\small{ \ n(\overline{A}\cap \overline{B})=n(\overline{A\cup B}) \ }\)
\(\small{\begin{eqnarray} \ \!n(A\cap B)&=&n(U)-n(\overline{A\cup B})\\[3pt] &=&n(\overline{A\cup B})=42 \ \end{eqnarray}}\)
\(\small{ \ n(A\cap B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B) \ }\)
\(\small{ \ n(A\cap B)=50+30-52=28 \ }\)
\(\small{ \ n(A\cap \overline{B})=n(A)-n(A\cap B)=50-28=22 \ }\)
\(\small{ \ n(\overline{A}\cap B)=n(B)-n(A\cap B)=30-28=2 \ }\)

2つの事象のベン図

これをカルノー図を利用すると次のようになるんだ。

まずはわかっている情報を書き込もう。
一番右と一番下には合計の欄を作ると
\(\small{ \ n(U)=60 \ }\)
\(\small{ \ n(A)=50 \ }\)
\(\small{ \ n(B)=30 \ }\)
\(\small{ \ n(\overline{A}\cap \overline{B})=8 \ }\)
は次のように書き込める。

カルノー図の利用1

まずは全体が\(\small{ \ 60 \ }\)になるから一番右と一番下の赤い字の部分がすぐわかる。

赤字の部分がわかったら、\(\small{ \ \overline{A} \ }\)と\(\small{ \ \overline{B} \ }\)の合計から青字の部分がわかる。
そして最後に\(\small{ \ A \ }\)または\(\small{ \ B \ }\)の合計から緑字の部分がわかる。

暗算で簡単に求めることができるよね。

カルノー図の利用2

ただ、残った部分が簡単にわかるから便利ってだけじゃないんだ。

このあと学習する条件付き確率は\(\small{ \ P_A(B)= \displaystyle\frac{P(A\cap B)}{P(A)} \ }\)を計算するんだけど、このときベン図より視覚的にわかりやすいっていうのもあって、カルノー図が使われてる。

例えば、いまの問題を確率の問題に変えた場合、

\(\small{ \ 60 \ }\)人の生徒に数学マークと数学記述の試験を行った。数学マークの合格者は\(\small{ \ 50 \ }\)人、数学記述の合格者は\(\small{ \ 30 \ }\)人、\(\small{ \ 2 \ }\)つとも不合格であった者は\(\small{ \ 8 \ }\)人であった。この中\(\small{ \ 60 \ }\)人の中から無作為に\(\small{ \ 1 \ }\)人を選ぶ確率を考える。選ばれた\(\small{ \ 1 \ }\)人が数学マークの合格者のとき、その人が数学記述の合格者である確率を求めよ。

この問題の場合求める確率は、

\(\small{ \ P_A(B)= \displaystyle\frac{P(A\cap B)}{P(A)}=\displaystyle\frac{n(A\cap B)}{n(A)}=\displaystyle\frac{28}{50}=\displaystyle\frac{14}{25} \ }\)

カルノー図があると視覚的に簡単だよね。このあたりについては条件付き確率の記事で問題と一緒に紹介してるから、そっちの記事を読んでほしい。

3つの集合のベン図とカルノー図

それじゃ\(\small{ \ 3 \ }\)つの集合\(\small{ \ A,B,C \ }\)の場合、どんなベン図やカルノー図になるか確認しておこう。
集合\(\small{ \ A \ }\)に属する・属しない、集合\(\small{ \ B \ }\)に属する・属しない、集合\(\small{ \ C \ }\)に属する・属しないの\(\small{ \ 2 \times 2 \times 2=8 \ }\)の集合に分かれるから次のように書くんだ。

3つの集合のベン図

3つの集合のカルノー図

4つの集合のベン図とカルノー図

\(\small{ \ 4 \ }\)つの集合\(\small{ \ A,B,C,D \ }\)になると全部で\(\small{ \ 16 \ }\)通りの部分集合になるから、ベン図を書くのはすごく大変なる。\(\small{ \ 4 \ }\)つの円を書けばいいかなって思うけど、実際間違っている図だと\(\small{ \ 14 \ }\)箇所にしか分かれてない。\(\small{ \ 16 \ }\)箇所に分かれてないといけないからね。

間違っている4つの集合のベン図
間違っている集合のベン図

正しい集合のベン図
正しい集合のベン図

でもこれをカルノー図だったら簡単に書ける。\(\small{ \ 16 \ }\)マスあればいいから\(\small{ \ 4\times4 \ }\)のマスを作ればいいって考えると簡単だよね。

4つの集合のカルノー図

今回は特に例題とかないけど、カルノー図について理解できたかな。

カルノー図は教科書には載ってないし、絶対覚えておかないといけないってことはないんだけど、使ってみると便利だからこの際覚えて使えるようにしておこう!

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