こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は数学的帰納法による等式の証明について学習していこう。
数学的帰納法とは
数学的帰納法とは、ある命題が全ての自然数(ある数より大きいなど、条件がある場合もある)で成立するのを証明するための方法だ。
その方法は、まずは命題が\(\small{ \ n=1 \ }\) のとき成り立つのを証明して、次に\(\small{ \ n=k \ }\)のとき成り立つと仮定する。
この仮定を利用して、\(\small{ \ n=k+1 \ }\)のとき成り立つことが証明できると、\(\small{ \ n=1 \ }\)が成り立つから\(\small{ \ n=2 \ }\)が成り立つ。
\(\small{ \ n=2 \ }\)が成り立つから\(\small{ \ n=3 \ }\)が成り立つっていうように、前が成り立つから次が成り立つといって全ての自然数で成り立つことを証明することが出来るよね。
(i)\(\small{ \ n=n_0 \ }\)のとき成り立つことを証明
(ii)\(\small{ \ n=k \ }\)のとき成り立つことを仮定
仮定を利用して\(\small{ \ n=k+1 \ }\)が成り立つことを証明
(i)(ii)より\(\small{ \ n\geqq n_0 \ }\)で命題が成り立つ
数学的帰納法で等式の証明
まずは基本的な数学的帰納法の証明を学習しよう。
今回学習するのは等式の証明方法で、一番簡単な証明方法なんだけど、1つポイントがあってそこさえ間違えなければ、必ず証明できるからそのポイントをしっかりと押さえてくことが重要なんだ。
そのポイントは次の証明方法手順の❸の部分のところね。\(\small{ \ n=k \ }\)から\(\small{ \ n=k+1 \ }\)への変形をするときに、両辺に何を加えたりすれば良いのかを自分で求めることができたらあとは簡単だからね。
数学的帰納法による等式の証明の解き方
(左辺\(\small{ \ n \ }\))=(右辺\(\small{ \ n \ }\))を示す等式の証明は次の❶〜❺の手順に従って証明をしていこう。
特に重要なのが❸の手順で、両辺にある作業(\(\small{ \ \ast\ast\ast\ast\ast \ }\))を加えて左辺を\(\small{ \ n=k+1 \ }\)の形にすることが大事だからね。
また、❹の手順では、あらかじめ右辺に\(\small{ \ n=k+1 \ }\)を代入した式を想像してその形になるように式変形していこう。
等式の証明方法手順
❶\(\small{ \ n=1 \ }\)のときを証明しよう
(i)\(\small{ \ n=1 \ }\)のとき
(左辺\(\small{ \ n=1 \ }\))\(\small{=}\)[ ]
(右辺\(\small{ \ n=1 \ }\))\(\small{=}\)[ ]
\(\small{ \ \therefore \ }\)(左辺\(\small{ \ n=1 \ }\))\(\small{ \ = \ }\)(右辺\(\small{ \ n=1 \ }\))
❷\(\small{ \ n=k \ }\)のとき与式が成り立つと仮定しよう
(ii)\(\small{ \ n=k \ }\)のとき
(左辺\(\small{ \ n=k \ }\))\(\small{ \ = \ }\)(右辺\(\small{ \ n=k \ })\cdots\)①が成り立つと仮定する。
❸左辺が\(\small{ \ n=k+1 \ }\)の形になるように両辺に\(\small{ \ \ast\ast\ast\ast\ast \ }\)しよう
①の両辺に\(\small{ \ \ast\ast\ast\ast\ast \ }\)すると、
(左辺\(\small{ \ n=k+1 \ }\))\(\small{ \ = \ }\)(右辺\(\small{ \ n=k \ }\))+(\(\small{ \ \ast\ast\ast\ast\ast \ }\))
❹右辺の(右辺\(\small{ \ n=k \ }\))\(\small{ \ + \ }\)(\(\small{ \ \ast\ast\ast\ast\ast \ }\))を(右辺\(\small{ \ n=k+1 \ }\))に変形しよう
(左辺\(\small{ \ n=k+1 \ }\))\(\small{ \ = \ }\)(右辺\(\small{ \ n=k \ }\))+(\(\small{ \ \ast\ast\ast\ast\ast \ }\))
\(\small{ \ = \ }\)(右辺\(\small{ \ n=k+1 \ }\))
よって\(\small{ \ n=k+1 \ }\)のときも成り立つ。
❺まとめ
よって(i)(ii)よりすべての自然数で与式は成り立つ。
もちろん左辺じゃなくて右辺の比較でもいいけど、一般的には問題文に「\(\small{ \ \cdots\cdots \ }\)」が使われている方の辺を比較するのがいいよ。
ほとんどの問題で、どちらかの辺には「\(\small{ \ \cdots\cdots \ }\)」が書いてあるから、「\(\small{ \ \cdots\cdots \ }\)」がある辺の方を\(\small{ \ n=k+1 \ }\)の形に変形しよう。
ちなみに「\(\small{ \ \cdots\cdots \ }\)」っていうのは、\(\small{ \ 1+2+\cdots\cdots+n \ }\)の\(\small{ \ \cdots\cdots \ }\)のことね。
\(\small{ \ n \ }\)が自然数のとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
(i)\(\small{ \ n=1 \ }\)のとき
(左辺)=\(\small{ \ 2 \ }\)、(右辺)=\(\small{\displaystyle \frac{1\cdot2\cdot3}{3}=2 \ }\)
(ii)\(\small{ \ n=k \ }\)のとき
が成り立つと仮定する。
両辺に\(\small{ \ (k+1)(k+2) \ }\)を加えると
\begin{eqnarray}
1\cdot2+2\cdot3+3\cdot4+\cdots+k(k+1)+(k+1)(k+2)&=&\displaystyle \frac{k(k+1)(k+2)}{3}+(k+1)(k+2)\\
&=&(k+1)(k+2)\left(\displaystyle \frac{k}{3}+1\right)\\
&=&\displaystyle \frac{(k+1)(k+2)(k+3)}{3}
\end{eqnarray}
}\)
よって\(\small{ \ n=k+1 \ }\)のときも成り立つ。
(i)(ii)よりすべての自然数\(\small{ \ n \ }\)で
は成り立つ。
Point
①\(\small{ \ n=k \ }\)のときと\(\small{ \ n=k+1 \ }\)のときを比較して加える作業を確認しよう
②式変形するときは、あらかじめ変形したい形を想像して変形しよう
\(\small{ \ n \ }\)が自然数のとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
(i) \(\small{ \ n=1 \ }\)のとき
左辺\(\small{ \ =1- \displaystyle \frac{1}{2}= \displaystyle \frac{1}{2} \ }\)
右辺\(\small{ \ = \displaystyle \frac{1}{1+1}= \displaystyle \frac{1}{2} \ }\)
よって左辺\(\small{ \ = \ }\)右辺
(ii)\(\small{ \ n=k \ }\)のとき
が成り立つと仮定する
\(\small{ ①}\)の両辺に\(\small{ \ \displaystyle \frac{1}{2k+1}-\displaystyle \frac{1}{2k+2} \ }\)を加えると
&=&\displaystyle \frac{1}{k+2}+\cdots+ \displaystyle \frac{1}{2k}+\displaystyle \frac{1}{2k+1}+ \displaystyle \frac{1}{k+1}- \displaystyle \frac{1}{2k+2}\\
&=&\displaystyle \frac{1}{k+2}+\cdots+ \displaystyle \frac{1}{2k}+\displaystyle \frac{1}{2k+1}+ \displaystyle \frac{1}{2k+2} \ \end{eqnarray}}\)
よって \(\small{ \ n=k+1 \ }\)のときも成り立つ
(i)(ii)よりすべての自然数で、
が成り立つ。