式と証明

恒等式

重要度 難易度

こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は恒等式について学習していこう。

恒等式とは?

恒等式とは、文字を含む等式の文字にどんな数値を代入しても常に成り立つ式のことを言うんだ。

それに対して、文字を含む等式の文字に特定の数値を代入したときだけ成り立つ式のことを方程式っていうから覚えておこう。

だから等式には方程式と恒等式があるんだ。

恒等式
\(\small{ \ a_0x^n+a_1x^{n-1}+a_2x^{n-2}+\cdots+a_{n-1}x+a_n=0 \ }\)

が\(\small{ \ x \ }\)についての恒等式のとき
\(\small{ \ a_0=a_1=a_2=\cdots=a_{n-1}=a_n=0 \ }\)

\(\small{ \ ax^2+bx+c=px^2+qx+r \ }\)が\(\small{ \ x \ }\)についての恒等式のとき
\(\small{ \ a=p, \ b=q, \ c=r \ }\)

普通に考えてみると、\(\small{ \ ax^2+bx+c=0 \ }\)の\(\small{ \ x \ }\)にどんな値を代入しても成り立つなら\(\small{ \ x \ }\)の係数が\(\small{ \ 0 \ }\)じゃないと成り立たないよね。じゃないと\(\small{ \ x \ }\)に\(\small{ \ 100 \ }\)や\(\small{ \ -100 \ }\)を代入して\(\small{ \ 0 \ }\)になるはずがないよね。

だから\(\small{ \ ax^2+bx+c=0 \ }\)が\(\small{ \ x \ }\)についての恒等式なら\(\small{ \ a=b=c=0 \ }\)になるんだ。

方程式と恒等式の違い

例えば\(\small{ \ (x-2)(x-3)=x^2-5x+6 \ }\)は\(\small{ \ x \ }\)にどんな値を代入しても成り立つよね。だからこれは恒等式になるんだ。

左辺から右辺を導くのって式変形のことだよね。式変形だと式の形が変わっただけで同じものだから恒等式になるんだ。

それに対して、\(\small{ \ (x-2)(x-3)=0 \ }\)は\(\small{ \ x \ }\)が特定の値\(\small{ \ x=2, \ 3 \ }\)のときしか成り立たない。こういう式は方程式になる。この特定の値のことを方程式の解っていうからね。

等式のうち、ある文字についてどんな値でも成り立つ等式が恒等式、特定の値のときだけ成り立つ等式が方程式になるんだ。

ちなみに恒等式はどの文字についての恒等式かってのも必要だからね。上の場合は\(\small{ \ x \ }\)しか文字がないから\(\small{ \ x \ }\)についての恒等式になるけど、複数の文字がある場合はどの文字についての恒等式になるか言わないといけないよ。

数値代入法による恒等式の決定

恒等式の問題には、与えられた式が恒等式になるように定数の文字を定める問題がある。

例えば『\(\small{ \ (x-2)(x-3)=(x-a)(x-1)+b \ }\)が\(\small{ \ x \ }\)についての恒等式になるように\(\small{ \ a, \ b \ }\)を定めよ。』みたいな問題ね。

未知の文字定数(上の問題の場合\(\small{ \ a, \ b \ }\))を含む式が恒等式になるように、文字定数を求める方法には\(\small{ \ 2 \ }\)つの方法があるんだけど、その\(\small{ \ 1 \ }\)つに数値代入法っていうのがある。

この数値代入法は、\(\small{ \ x \ }\)にどんな数値を代入しても成り立つんだから、いくつか適当な数値を代入してみて未知の文字定数を求めようっていう方法なんだ。

ただ、代入する数値の個数に注意しよう。

上の問題なら未知の文字定数は\(\small{ \ 2 \ }\)つだから、これを求めるために\(\small{ \ 2 \ }\)つの式が必要だから、\(\small{ \ 2 \ }\)つの式を作るために\(\small{ \ 2 \ }\)つの数値を代入する必要があるんだ。

\(\small{ \ (x-2)(x-3)=(x-a)(x-1)+b \ }\)なら\(\small{ \ x=1 \ }\)と\(\small{ \ x=2 \ }\)がいいかな。
\(\small{ \ x=1 \ }\)を両辺に代入すると\(\small{ \ b=2 \ }\)ってなるし、\(\small{ \ x=2 \ }\)を両辺に代入すると\(\small{ \ 2-a+b=0 \ }\)になるから\(\small{ \ a, \ b \ }\)が簡単に求まるよね。

代入する数値はなんでもいいんだけど、少しでも計算が楽になるように簡単な数字がいいよね。

次に代入する数値の個数について考えてみよう。

例えば\(\small{ \ ax^2+bx+c=px^2+qx+r \ }\)が恒等式になる場合、代入する数値は\(\small{ \ 3 \ }\)つ必要なんだ。

なぜかっていうと、この式は両辺ともに二次関数になっているよね。二次関数は曲線上の\(\small{ \ 2 \ }\)点が与えられても二次関数は確定しないよね。二次関数は\(\small{ \ 3 \ }\)点が与えられて初めて決定することができるもんね。(頂点が与えられてたら\(\small{ \ 2 \ }\)点でもいいけどね。)

だから関数の次数によって代入する数値は変わるとも考えられるんだ。

たださっきの問題みたいに未知の文字定数の値を求める場合は、未知の文字定数の個数の数だけ式が必要になるから、文字定数の個数と同じだけ数値を代入する必要があるんだ。

係数比較法による恒等式の決定

未知の文字定数を含む式が恒等式になるように文字定数の値を求める方法は数値代入法の他に係数比較法がある。

これは両辺を降べきの順に並べて、同次の項の係数が等しいことを利用して文字定数の値を求める方法になる。

とにかく降べきの順に並べて係数を比較するだけだからそんなに難しくもないから、丁寧に計算しよう。

point
降べきの順に並べるっていうのは比較しやすいようにってことで、実際は降べきの順に並べなくてもいいけど、比較するのが大変で見落としたりとかのミスも出るから、降べきの順に並べよう。

恒等式の応用

恒等式の応用について考えてみよう。

例えば\(\small{ \ y=ax+a+1 \ }\)って直線があったとするよね。これって傾き\(\small{ \ a \ }\)、\(\small{ \ y \ }\)切片\(\small{ \ a+1 \ }\)の直線だよね。

この式を\(\small{ \ a \ }\)について降べきの順に並べてみると\(\small{ \ a(x+1)+1-y=0 \ }\)になるよね。

これがどんな\(\small{ \ a \ }\)でも成り立つ\(\small{ \ a \ }\)についての恒等式だとすると、\(\small{ \ x+1=0 \ }\)かつ\(\small{ \ 1-y=0 \ }\)から\(\small{ \ (x, \ y)=(-1, \ 1) \ }\)になる。

これってこの\(\small{ \ y=ax+a+1 \ }\)の\(\small{ \ a \ }\)がどんな値でも常に\(\small{ \ (x, \ y)=(-1, \ 1) \ }\)を通るってことになるんだ。

\(\small{ \ y=ax+a+1 \ }\)って直線を傾き\(\small{ \ a \ }\)、\(\small{ \ y \ }\)切片\(\small{ \ a+1 \ }\)の直線って思ってるのと、常に\(\small{ \ (x, \ y)=(-1, \ 1) \ }\)を通る直線って思ってるのじゃ全然違うよね。

恒等式-01

実際\(\small{ \ y=ax+a+1 \ }\)は一般的には\(\small{ \ xy \ }\)平面の直線の方程式って呼ばれるけど、等式だから\(\small{ \ a \ }\)についての恒等式として考え直せば、こんな風に応用できるんだ。

こういう考え方っていつ使えるかわからないけど、普段から等式には方程式と恒等式があることを意識しておくと気付けるようになるから普段から意識しておこう。

恒等式の文言

この式が恒等式かなって思う要因に次の文言がある。

「どんな\(\small{ \ k \ }\)の値でも」
「\(\small{ \ k \ }\)の値にかかわらず」

この文言やこれに近い文言を見たら、「\(\small{ \ k \ }\)についての恒等式」って思ってほしい。

どの単元でこの文言が出てくるか分からないけど、注意して見落とさないようにしておこう。

例題を確認
問題解答

\(\small{ \ \displaystyle\frac{x+3}{(x+1)(x+2)}=\displaystyle\frac{a}{x+1}+\displaystyle\frac{b}{x+2} \ }\)が\(\small{ \ x \ }\)についての恒等式となるように定数\(\small{ \ a, \ b \ }\)の値を定めよ。

等式の両辺に\(\small{ \ (x+1)(x+2) \ }\)をかけると
\(\small{ \ x+3=a(x+2)+b(x+1) \ }\)
これが恒等式であればよい
\(\small{ \ x+3=(a+b)x+2a+b \ }\)より
\(\small{ \begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+b=1 \\
2a+b= 3
\end{array}
\right.
\end{eqnarray} \ }\)
これを解いて
\(\small{ \ a=2, \ b=-1 \ }\)

point
恒等式は等式だから両辺に同じ数をかけたり、割ったりしても成り立つし、その後の式も恒等式になるからね。

Point 恒等式

①等式には恒等式と方程式がある
②恒等式の未知定数は数値代入法か係数比較法で求める

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