こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は数学的帰納法による倍数の証明について学習していきます。
目次[表示]
倍数であることの証明
数学的帰納法を利用した倍数の証明問題は、「nを含む式がある数の倍数である」というものが、ほとんどです。
その他の倍数の証明は、数学的帰納法での証明以外に、合同式を利用する方法などがあります。合同式を利用する証明方法については、また今度書きたいと思います。
倍数といえば、倍数の判定方法も勉強しておきましょう。
例えば「 3 3 の倍数なら各位の和が 3 3 の倍数である」や「 4 4 の倍数なら下 2 2 桁が 4 4 の倍数である」、「 n n 個の連続する数の積は n! n! の倍数である」など、倍数に関する事項はなるべき覚えておきましょう。
(i) n=n0 n=n0 のとき成り立つことを証明
(ii) n=k n=k のとき成り立つことを仮定
仮定を利用して n=k+1 n=k+1 が成り立つことを証明
(i)(ii)より n≧n0 n≧n0 で命題が成り立つ
倍数の表し方
例えば、 11 11 の倍数は「 11m 11m 」と書けます。
このとき「 m m は整数」という一言が大事になります。
この一言を忘れてしまうと 11m 11m は m=311 m=311 のとき 3 3 になります。
つまり、 m m が整数でなければ、 11 11 の倍数にならないのです。
数学的帰納法による倍数の証明方法
数学的帰納法による倍数の証明は次の❶～❹の順に証明していきます。
今回は「 n n が自然数のとき、 11n−1 11n−1 は 10 10 の倍数である」を手順に沿って証明していきます。解き方を確認しておきましょう。
数学的帰納法による倍数の証明の手順
「 n n が自然数のとき、 11n−1 11n−1 は 10 10 の倍数である」
❶ n=1 n=1 のときを証明する
(i) n=1 n=1 のとき
11−1=10 11−1=10 より 10 10 の倍数である。
❷ n=k n=k のときを命題が成り立つと仮定する
(ii) n=k n=k のとき
11k−1 11k−1 が 10 10 の倍数だと仮定すると
11k−1=10m 11k−1=10m ( m m は整数)と表すことができる。
❸ n=k+1 n=k+1 のとき❷の仮定を利用して成り立つことを証明する
n=k+1 n=k+1 のとき
11k+1−1=11⋅11k−1=11⋅(10m+1)−1=10(11m+1)
よって 11m+1 は整数なので n=k+1 のときも 10 の倍数である。
❹まとめ
(i)(ii)より
すべての自然数 n で 11n−1 は 10 の倍数である
n=k の形を変形しても n=k+1 の形にするのは難しいです。
n が自然数のとき、 26n−5+32n は 11 の倍数であることを証明せよ。
(i) n=1 のとき
2+32=11
よって 11 の倍数である。
(ii) n=k のとき
26k−5+32k が 11 の倍数であると仮定する。
m が整数のとき
26k−5+32k=11m⋯① と表すことができる
ここで
26(k+1)−5+32(k+1)
=26k−5⋅26+32k⋅32
=(11m−32k)64+9⋅32k(∵①)
=11(64m−5⋅32k）
64m−5⋅32k は整数なので、 n=k+1 のときも 11 の倍数である
(i)(ii)より n が自然数のとき、 26n−5+32n は 11 の倍数である
しかし、 32k を 26k−5 と 11m で表しても構いません。
また、 11 の倍数判定は合同式を使っても証明することできます。
Point
①ある整数の倍数は[ある整数]× m ( m は整数)と表す。
② n=k+1 のときを n=k の仮定を利用して表す。
次の条件を満たす f(x) を推定し、その推定が正しいことを証明せよ。
① f(4)=21
②すべての自然数 n に対して、 xn+1+(x+1)2n−1 は f(x) で割り切れる
xn+1+(x+1)2n−1 は
n=1 のとき x2+x+1
n=2 のとき x3+(x+1)3=(2x+1)(x2+x+1) より
f(x)=x2+x+1 と推定できる。
また f(4)=21 も満たす。
よって xn+1+(x+1)2n−1 は f(x)=x2+x+1 で割り切れることを数学的帰納法で証明する
(i) n=1 のとき
x2+x+1 は f(x) で割り切れる。
(ii) n=k のとき
xk+1+(x+1)2k−1 は f(x) で割り切れると仮定すると
pk(x) を x の整式として
xk+1+(x+1)2k−1=f(x)pk(x) と表せる。
ここで
よって n=k+1 のときも成り立つ。
(i)(ii)よりすべての自然数 n で xn+1+(x+1)2n−1 は f(x)=x2+x+1 で割り切れる。
