こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は根号を含む数列の極限と分子の有理化について学習していこう。
根号を含む数列の極限
根号を含む数列の極限って書いているけど、数列の勉強をしたときには根号を含む数列ってほとんど出題されてないよね。
だから極限の問題特有ってことになるんだけど、この中にも複数のパターンの解き方が存在するから、形を見ながら解き方を覚えていこう。
・\(\small{ \ \sqrt{\infty}-\sqrt{\infty} \ }\)の形
分子の有理化をする
・\(\small{ \ \displaystyle\frac{\infty}{\infty} \ }\)の形
分母の最高次数の項で割る
分子の有理化
中学で初めて根号を教わったとき、分母に根号があると「有理化しなさい」って教わった人も多いと思う。「有理化しないとテストで×にするぞー」とか先生に言われたりしてね笑。
有理化って必ずしないといけないわけじゃないんだけど、分母を有理化して有理数にした方が、その数が大体どれくらいの大きさなのか見当がつきやすいとか、通分しやすいとかの理由もあって有理化することがすすめられたんだと思う。
\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}+\sqrt{2} \ }\)も分母を有理化することで\(\small{ \ \displaystyle\frac{3\sqrt{2}}{2} \ }\)まとめることができるのに気付くよね。
一般的に有理化って分母を有理数にすることに使われる言葉だった。だけど今回は分子の有理化をしようってことになるんだ。
例えば次の問題を見てみよう。
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\left(\sqrt{n+2}-\sqrt{n-1}\right) \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\sqrt{n+2}=\infty \ }\)、\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\sqrt{n-1}=\infty \ }\)だから形としては\(\small{ \ \infty-\infty \ }\)の形になるよね。
これって\(\small{ \ 0 \ }\)になるのかな?でも前の項の方が大きいから\(\small{ \ 0 \ }\)にならなそうな感じもするよね。
イメージとしては\(\small{ \ \sqrt{\infty}-\sqrt{\infty} \ }\)で極限がはっきりしないから、これをはっきりさせるために分子を有理化するんだ。
これを解くと
つまり有理化することで分子の\(\small{ \ \sqrt{\infty}-\sqrt{\infty} \ }\)の部分が計算できて極限を求めることができるんだ。
一般的に見てみよう。
無限大に発散する\(\small{ \ 2 \ }\)つの根号\(\small{ \ \sqrt{A_\infty} \ }\)と\(\small{ \ \sqrt{B_\infty} \ }\)があるとき、
&=&\displaystyle\frac{A_\infty-B_\infty}{\sqrt{A_\infty}+\sqrt{B_\infty}} \ \end{eqnarray}}\)
分子を有理化することで分子は根号が外れて\(\small{ \ A_\infty-B_\infty \ }\)の部分は計算できるようになるし、分母は\(\small{ \ \sqrt{A_\infty}+\sqrt{B_\infty} \ }\)になるから無限大になることがわかる。
これではっきりしない\(\small{ \ \sqrt{\infty}-\sqrt{\infty} \ }\)が計算できる形になって極限を求めることができるんだ。
今まで使ってきた「有理化」っていうのは分母を有理数にすることだったけど、分子の有理化は分子を有理数にして、\(\small{ \ \sqrt{\infty}-\sqrt{\infty} \ }\)の極限を求めるための計算方法ってことになるんだ。
根号を含む分数の極限
分子の有理化が終わっても分母に根号が残ってるから、次はこの計算について考えていこう。
でもそんなに難しく考える必要はなくて、\(\small{ \ \sqrt{A_{\infty}}+\sqrt{B_{\infty}} \ }\)は無限大に発散するから、これが分母にある場合は、分数の極限の問題と同じで分母の最高次数の項で分母分子ともに割ってあげたらいいんだ。
分数型の分母分子が無限大に発散するものは、分母を\(\small{ \ 0 \ }\)以外の数に収束させるのが基本だから、分母が収束するように最大次数の項\(\small{ \ n^k \ }\)で割ろう。
もちろん\(\small{ \ k=\displaystyle\frac{1}{2} \ }\)、つまり\(\small{ \ \sqrt{n} \ }\)のときも同じだからね。
分母の最高次数の項が\(\small{ \ \sqrt{n+2} \ }\)なら\(\small{ \ \sqrt{n} \ }\)で、\(\small{ \ \sqrt{n^2+2n-1} \ }\)なら\(\small{ \ \sqrt{n^2} \ }\)つまり\(\small{ \ n \ }\)で割るってこと。
この考え方は数列の極限の基本でもう一度確認しておこう。
数列の極限の基本
数列の極限の基本的な考え方や式変形のやり方について詳しく解説しています。
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第\(\small{ \ n \ }\)項が次の式で表される数列の極限を求めよ。
(1)\(\small{ \ \displaystyle\frac{\sqrt{n}}{\sqrt{4n+1}-\sqrt{n+2}} \ }\)
(2)\(\small{ \ \displaystyle\frac{\sqrt{4n}}{\sqrt{n+2}+\sqrt{9n+1}} \ }\)
(1)
\(\small{\displaystyle\frac{\sqrt{n}}{\sqrt{4n+1}-\sqrt{n+2}}\\[3pt]
=\displaystyle\frac{\sqrt{n}\left(\sqrt{4n+1}+\sqrt{n+2}\right)}{3n-1}\\[3pt]
=\displaystyle\frac{\sqrt{4n^2+n}+\sqrt{n^2+2n}}{3n-1}\\[3pt]
=\displaystyle\frac{\sqrt{4+\textstyle\frac{1}{n}}+\sqrt{1+\textstyle\frac{2}{n}}}{3-\textstyle\frac{1}{n}} \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{\sqrt{n}}{\sqrt{4n+1}-\sqrt{n+2}}=1 \ }\)
(2)
\(\small{ \ \displaystyle\frac{\sqrt{4n}}{\sqrt{n+2}+\sqrt{9n+1}}\\
=\displaystyle\frac{\sqrt{4}}{\sqrt{1+\textstyle\frac{2}{n}}+\sqrt{9+\textstyle\frac{1}{n}}} \ }\)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{\sqrt{4n}}{\sqrt{n+2}+\sqrt{9n+1}}=\displaystyle\frac{1}{2} \ }\)
Point 根号を含む数列の極限と分子の有理化
①\(\small{ \ \sqrt{\infty}-\sqrt{\infty} \ }\)は有理化して極限を考える
②\(\small{ \ \displaystyle\frac{\infty}{\infty} \ }\)は分母の最大次数の項で分母分子をともに割る
次の極限を求めよ。
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\left(\sqrt{a^2n^2+bn+c}-an\right) \ }\)
ただし、\(\small{ \ a\gt0 \ }\)とする
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\left(\sqrt{a^2n^2+bn+c}-an\right)\\[3pt] =\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{\sqrt{a^2n^2+bn+c}^2-(an)^2}{\sqrt{a^2n^2+bn+c}+an}\\[3pt] =\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{bn+c}{\sqrt{a^2n^2+bn+c}+an}\\[3pt] =\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{b+\textstyle\frac{c}{n}}{\sqrt{a^2+\textstyle\frac{b}{n}+\textstyle\frac{c}{n^2}}+a}\\[3pt] =\displaystyle\frac{b}{2a} \ }\)