こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は数列の極限の基本について学習していこう。
数列の極限の基本
項が限りなく続く無限数列やその和がどんな値に近づくか調べるための基本的な考え方を学習していこう。
収束
・値\(\small{ \ \alpha \ }\)に収束
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=\alpha \ }\)
発散(収束しない)
・正の無限大に発散
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=\infty \ }\)
・負の無限大に発散
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=-\infty \ }\)
・振動
極限はなし
収束と発散
数列\(\small{ \ a_1, \ a_2, \ a_3, \ \cdots, \ a_n, \ \cdots \ }\)を記号で\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)って書くけど、この数列\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)において\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくするとき、\(\small{ \ a_n \ }\)がある値\(\small{ \ \alpha \ }\)に近づくなら「\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)は\(\small{ \ \alpha \ }\)に収束する」っていうんだ。
これを記号で書くと\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=\alpha \ }\)って書く。
ちなみにこの\(\small{ \ \alpha \ }\)を極限値や極限っていう。
逆に\(\small{ \ 1, \ 2, \ 3, \ \cdots, \ n, \ \cdots \ }\)のような数列だと\(\small{ \ a_n=n \ }\)だから\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくするとき、極限はある値に近づかず、限りなく大きくなるよね。
数列\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)がある値に近づかないこと、つまり収束しないとき、\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)は発散するっていうんだ。
\(\small{ \ a_n=n \ }\)のときは正の無限大に発散するって言って、\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=\infty \ }\)って書く。つまり極限は正の無限大ってことになる。
\(\small{ \ a_n=-n \ }\)のときは負の無限大に発散するって言って、\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=-\infty \ }\)って書く。このとき極限は負の無限大になるんだ。
それとは別に収束しないパターンに\(\small{ \ (-2)^n \ }\)のような数列がある。
これは\(\small{ \ −2, \ 4, \ -8, \ 16,\cdots, \ (-2)^n,\cdots \ }\)になるから、\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくすると収束しないのがわかるよね。
でも正の無限大や負の無限大に発散するわけでもない。この場合、この数列は振動するって言うんだ。
振動する数列の極限はなしってことになる。ちなみに振動も収束しないから発散ってことになるから注意しよう。
収束させる変形を利用
\(\small{ \ a_n=2n \ }\)なら\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=\infty \ }\)になるよね。
\(\small{ \ a_n=\displaystyle\frac{1}{n} \ }\)なら\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくすると分母が限りなく大きくなるから、\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=0 \ }\)になるよね。
テストにはこんな簡単な極限の問題は出題されないけど、この\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{1}{n}=0 \ }\)っていう考えが重要になるから覚えておこう。
例えば\(\small{ \ \displaystyle\frac{n+1}{2n+3} \ }\)の極限を考えてみよう。
分母は\(\small{ \ 2n+3 \ }\)だから\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくすると正の無限大になる。
分子も\(\small{ \ n+1 \ }\)だから\(\small{ \ n \ }\)を限りなく大きくすると正の無限大になる。
つまり\(\small{ \ \displaystyle\frac{n+1}{2n+3} \ }\)は\(\small{ \ \displaystyle\frac{\infty}{\infty} \ }\)ってことになるよね。でもこんな答えはないから、きちんとどんな極限になるか求めないといけない。
\(\small{ \ \displaystyle\frac{\infty}{\infty} \ }\)の形の極限は、分子より分母の方が大きくなるなら極限は\(\small{ \ 0 \ }\)に近づくし、逆に分子の方が大きくなるなら極限は無限大になるよね。
つまり分母と分子の極限を別々に求めても正確な極限はわからないんだ。
ちなみにこの分数の形の極限で分子分母ともに無限大になる極限の形を不定形っていうからね。
じゃあこの不定形の極限をどうやって求めるかというと、基本的な考え方は
『分母を\(\small{ \ 0 \ }\)以外の数に収束するように変形する』
ってことになるんだ。
\(\small{ \ \displaystyle\frac{n+1}{2n+3} \ }\)の場合、分母は\(\small{ \ 2n+3 \ }\)だから分母を\(\small{ \ n \ }\)で割ってあげると\(\small{ \ 2+\displaystyle\frac{3}{n} \ }\)になって、この極限は\(\small{ \ 2 \ }\)になるよね。
ただ、分母を\(\small{ \ n \ }\)で割っただけじゃ式が変わるから分子も同じように\(\small{ \ n \ }\)で割ってあげよう。
つまり\(\small{ \ \displaystyle\frac{n+1}{2n+3} \ }\)に\(\small{ \ \displaystyle\frac{\textstyle\frac{1}{n}}{\textstyle\frac{1}{n}} \ }\)をかけたってことになる。
\(\small{ \ \displaystyle\frac{n+1}{2n+3}=\displaystyle\frac{1+\textstyle\frac{1}{n}}{2+\textstyle\frac{3}{n}} \ }\)になる。
\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{n} \ }\)も\(\small{ \ \displaystyle\frac{3}{n} \ }\)も極限は\(\small{ \ 0 \ }\)になるから、
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{n+1}{2n+3}=\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{1+\textstyle\frac{1}{n}}{2+\textstyle\frac{3}{n}}=\displaystyle\frac{1}{2} \ }\)になるんだ。
この変形で重要なのは分母が収束するってこと。
つまり分母が収束するから、分子がどうなるか考えればいいんだ。
それと式の一部の\(\small{ \ n \ }\)だけ先に無限大にして収束をさせたりしないようにね。\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty} \ }\)が残っているならすべての\(\small{ \ n \ }\)が式に残ってないとダメだからね。
\(\small{ \ \displaystyle\frac{n^2+n+3}{2n+1} \ }\)なら\(\small{ \ \displaystyle\frac{n+1+\textstyle\frac{3}{n}}{2+\textstyle\frac{1}{n}} \ }\)ってすれば、分母は\(\small{ \ 2 \ }\)に収束して、分子は正の無限大に発散するから、無限大を\(\small{ \ 2 \ }\)で割っても無限大だから
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{n^2+n+3}{2n+1}= \infty \ }\)になるんだ。
分母が収束すれば、分子がどうなるかを考えればいいから極限を簡単に求めることができるよね。
じゃあ分母を収束させるためにはどうするかっていうと、分母の最高次数の項\(\small{ \ n^k \ }\)で割ればいいんだ。
\(\small{ \ n+1 \ }\)なら\(\small{ \ n \ }\)で割る。
\(\small{ \ 2n^2+3n-4 \ }\)なら\(\small{ \ n^2 \ }\)で割るってこと。そうすれば、分母は最高次数の項の係数に収束する。
よく分子の最高次数の項で割ろうとする人がいるけど、\(\small{ \ \displaystyle\frac{n^2+n-1}{n+1} \ }\)のとき、分母分子ともに\(\small{ \ n^2 \ }\)で割ると分子は\(\small{ \ 1+\displaystyle\frac{1}{n}-\displaystyle\frac{1}{n^2} \ }\)で\(\small{ \ 1 \ }\)に収束して、分母は\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{n}+\displaystyle\frac{1}{n^2} \ }\)になって\(\small{ \ 0 \ }\)に収束するからよさそうだけど、\(\small{ \ \displaystyle\frac{1}{0} \ }\)になるからよくないよね。
だって数学的に分母\(\small{ \ 0 \ }\)はよくないもんね。だから分母が\(\small{ \ 0 \ }\)以外の数に収束するようにしないといけない。
だから\(\small{ \ \displaystyle\frac{n^2+n-1}{n+1} \ }\)も分母の最高次の項\(\small{ \ n \ }\)で分母分子を割らないといけないんだ。
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}n=\infty \ }\)より\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{1}{n}=0 \ }\)の方が想像しやすく、分かりやすいよね。
発散するものを収束するように式を変形しよう。
次の極限を求めよ。
(1)\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{3n+1}{n^2+1} \ }\)
(2)\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{2n^2+3n-5}{4n^2-2n+4} \ }\)
(3)\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}3n(-1)^n \ }\)
(4)\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{(n-1)(2n^2+3)}{n^3+2n+1} \ }\)
(1)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{3n+1}{n^2+1}\\[3pt]
=\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{\textstyle\frac{3}{n}+\textstyle\frac{1}{n^2}}{1+\textstyle\frac{1}{n^2}}\\[3pt]
=0 \ }\)
(2)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{2n^2+3n-5}{4n^2-2n+4}\\[3pt]
=\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{2+\textstyle\frac{3}{n}-\textstyle\frac{5}{n^2}}{4-\textstyle\frac{2}{n}+\textstyle\frac{4}{n^2}}\\[3pt]
=\displaystyle\frac{1}{2} \ }\)
(3)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}3n(-1)^n \ }\)
極限なし
(4)
\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{(n-1)(2n^2+3)}{n^3+2n+1}\\[3pt]
=\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{\left(1-\textstyle\frac{1}{n}\right)\left(2+\textstyle\frac{3}{n^2}\right)}{1+\textstyle\frac{2}{n^2}+\textstyle\frac{1}{n^3}}\\[3pt]
=2 \ }\)
Point 数列の極限の基本
①不定形\(\small{ \ \displaystyle\frac{\infty}{\infty} \ }\)は分母を収束させるように分母の最高次数の項\(\small{ \ n^k \ }\)で割って変形する
数列\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)の初項から第\(\small{ \ n \ }\)項までの積を\(\small{ \ P_n=a_1a_2\cdots a_n \ }\)とおく。すべての自然数\(\small{ \ n \ }\)に対して\(\small{ \ P_n \ }\)は\(\small{ \ P_n=\displaystyle\frac{1}{(n+1)(n \ !)^2} \ }\)と表されているとする。
(1)数列\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)の第\(\small{ \ n \ }\)項\(\small{ \ a_n \ }\)を求めよ。
(2)数列\(\small{ \ \left\{a_n\right\} \ }\)の初項から第\(\small{ \ n \ }\)項までの和を\(\small{ \ S_n=a_1+a_2+\cdots+a_n \ }\)とするとき、\(\small{ \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}S_n \ }\)を求めよ。
(1)
\(\small{ \ n=1 \ }\)のとき
\(\small{ \ P_1=a_1=\displaystyle\frac{1}{2} \ }\)
\(\small{ \ n\geqq2 \ }\)のとき
\(\small{\begin{eqnarray} \ a_n&=&\displaystyle\frac{P_n}{P_{n-1}}\\[3pt]
&=&\displaystyle\frac{1}{(n+1)(n \ !)^2}\times\displaystyle\frac{n\left\{(n-1) \ !\right\}^2}{1}\\[3pt]
&=&\displaystyle\frac{1}{(n+1) \ ! \ n \ !}\times\displaystyle\frac{n \ !(n-1) \ !}{1}\\[3pt]
&=&\displaystyle\frac{1}{n(n+1)} \ \end{eqnarray}}\)
これは\(\small{ \ n=1 \ }\)のときも満たしている
\(\small{ \ \therefore a_n=\displaystyle\frac{1}{n(n+1)} \ }\)
(2)
\(\small{\begin{eqnarray} \ S_n&=&\displaystyle\sum_{k=1}^n a_k\\[3pt]
&=&\displaystyle\sum_{k=1}^n \displaystyle\frac{1}{k(k+1)}\\[3pt]
&=&\displaystyle\sum_{k=1}^n\left(\displaystyle\frac{1}{k}-\displaystyle\frac{1}{k+1}\right)\\[3pt]
&=&\displaystyle\frac{n}{n+1} \ \end{eqnarray}}\)
よって
\(\small{\begin{eqnarray} \ \displaystyle\lim_{n\to \infty}S_n&=&\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{n}{n+1}\\[3pt]
&=&\displaystyle\lim_{n\to \infty}\displaystyle\frac{1}{1+\textstyle\frac{1}{n}}\\[3pt]
&=&1 \ \end{eqnarray}}\)
分数の数列の和
部分分数分解を利用した数列の和について詳しく解説しています。
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