こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は教科書と学習指導要領範囲外と大学入試ってことについて話をしてみよう。
教科書と学習指導要領範囲外と大学入試
「大学で教わる公式(高校の教科書に載ってない公式)って大学受験で使っていいの?」って疑問ってあると思うけど、今回はみんなが使っている教科書からその辺の話まで、僕の思っていることを話していこうと思う。
あくまでも僕の意見で正しい意見とは限らないからね。
教科書の種類
文部科学省検定済教科書
文部科学省著作教科書
検定外教科書(市販の教科書・オリジナル教科書)
高校の教科書の種類
高校の教科書って、文部科学省に検定された『文部科学省検定済教科書』と文部科学省が著作編集した『文部科学省著作教科書』、それに文部科学省に検定されてない、いわゆる『検定外教科書』がある。
文部科学省著作教科書は農業や工業、看護とか職業系の学校で使われる教科書で、これは需要が少ないから民間企業が発行しない(期待できない)から文部科学省が作ってるんだ。技術系の学校は数学ⅡだけとかBは簿記を代わりにとかもあるから、普通校とはちょっと違うからね。
大抵の普通科の公立高校や私立高校で使われている高校数学の教科書は『文部科学省検定済教科書』で「啓林館」「実教出版」「数研出版」「第一学習社」「東京書籍」から発行されている。
どの会社も「数学I」だけでも\(\small{ \ 4 \ }\)種類ぐらい教科書を作ってるんだ。全部の教科書を見たことがあるわけじゃないけど、同じ会社でもちょっと内容が違ったりするからね。
これに対して一部の公立高校や私立高校では『検定外教科書』が使われている。
検定外教科書とは
教科用図書検定を経ることで文部科学省検定済教科書として発行されるんだけど、検定を受けることで弊害もある。それは検定を受けることで記述内容が制限されるってことなんだ。
文部科学省検定済教科書は学習指導要領に沿って記述されているから、学習指導要領の範囲を超えた部分は記述されていないことが多い。
それに対して検定外教科書は検定を受けないから、学習指導要領の範囲を超えた部分を記述することができるんだ。
だから文部科学省検定済教科書と比べると内容がより深く掘り下げられていたり、補足されている項目が多い。
中高一貫校でよく使われている教科書に数研出版から発行されている体系数学がある。都内の私立の中高一貫校では一番よく使われているんじゃないかな。
数研出版のホームページには次のように記述されている。
普通の教科書では、学年別に習う内容が決まっているため、学習する生徒たちにとっては必ずしも自然な流れになっているとは限りません。たとえば、「等しい」関係を表す「方程式」は中学校の\(\small{ \ 1 \ }\)年生で学習しますが、「大きい」「小さい」といった関係を表す「不等式」をきちんと学習するのは、高校の\(\small{ \ 1 \ }\)年生。「等しい」「大きい」「小さい」これらはごく自然とつながって理解される事柄です。そこで数研出版は、「方程式」に続いて「不等式」を学習できる教科書があってもよいのではないか、と考えました。
理解の流れを重視して編纂した「体系数学」シリーズは、授業の中心として使用する教材として、さまざまな学校から支持を得ています。
公立高校の検定済教科書を使っている学校だと数学Iと数学Aを、数学IIと数学Bを並行して教科書を初めから順に指導するって学校が圧倒的に多い。
だけど体系数学だとこの順番がバラバラだからね。中高一貫用だから中学で高校数学の内容をやったりもするしね。
数学の教科書を作成するスペシャリストが文部科学省の学習指導要領を無視して作る教科書だから合う生徒にはすごくいいと思う。それに多くの学校で採用されているっていうことからも先生が指導しやすいのかもしれない。
でも一斉授業型の塾とかに通ってると他の学校と進度が全然違うってことで大変って人もいるかもしれない。そういう人は個別指導の塾の方が合うかもね。
学校で作るオリジナル教科書
東京大学とか難関大学を受験するのに検定済教科書の内容だけじゃ全然足りないよね。もちろんいろんな参考書や問題集で対応するんだけど・・・。
難関大学を受験する生徒がさほど多くない学校の場合、文部科学省検定済教科書で進めていくことが最善なのかもしれないけど、難関大学を受験する生徒が多い学校ならあらかじめ難しい問題も含んだ教科書で授業を進めた方が効率良さそうだよね。
だから難関大学を受験する生徒が多い学校の中には学校の先生が教科書を独自に作ってる学校もあるんだ。
数学の先生が自分の学校の生徒のレベルに合わせてオリジナルで作ってるから、検定外教科書よりももっと掘り下げて記述してあったりするからね。
教科書に載っていない公式を使っていいの?
そろそろみんなが気になっている本題に入っていこうと思う。
今ここまで読んでどう思ったかな?
教科書に載っているものと学習指導要領が必ずしも一致しているわけじゃないよね。
もちろん学校で作られたオリジナル教科書を全て見たわけじゃないから、どんな記述があるかわからないけど、みんなが使っている教科書って必ずしも同じじゃない。
検定外教科書を使っている人たちは多分正確な学習指導要領知らないよね。検定外教科書では大学で教わる内容も一部取り扱ってるかもしれない。
つまりどの公式を使ってよくて、どの公式は使えないかって、検定外教科書を使って指導されたときに使える・使えないって話を聞いただけだよね。
もしかしたら聞いていないかもしれない。
そもそも大学受験の採点者は学習指導要領をきちんと理解しているのかな?
僕が塾の講師を始めた頃に書店で買った本にこんな記載があったんだ。
数学での、大学入試問題は二つのタイプに分類されます。教科書に解説されており、授業で学習する問題と、そうでない問題です。
(中略)
入試問題は、原則として教科書の範囲(文部省が定める学習指導要領)の中から出題されることになっています。したがって、大多数の入試問題は教科書であつかったものです。しかし、現実には教科書の範囲以外からも出題されるのです。では、なぜ出題されるのでしょうか。
教科書の範囲以外からも出題される問題は、さらに次の二つに分けられます。
(1)昔は高等学校の教科書の範囲であったが、現在は範囲以外になってしまった事項の問題。
(2)大学のカリキュラムであつかう問題。
問題を出題する各大学の先生は、通常次の二つの手法で問題を作成すると考えられます。
①過去に出題された問題に多少手を加える。
②大学で講義している内容を高校生諸君にもー応理解できる形に変形する。
このような事情から、学習指導要領が変わっても、出題者の大学の先生が受験常識と思い込んでいるため、現在の高校生諸君が、学習していない事項が出題されるケースがあったり((1)のタイプ)、数学的なものの見方や考え方ができるかどうかを試すとの出題者の考えから、見たこともないような種類の問題が出題されるケースがあるのです((2)のタイプ)。
学生社 大学入試の[抜け道]数学より
ちなみにこの本の目次には「外積を利用せよ」や「オイラーの公式を利用しよう」「ニュートン法を知っておけ」みたいな項目が多数あった。
著書は二人の県立高校の先生っていうのも面白くて購入したのを覚えている。
ちなみに僕は学習指導要領範囲外を指導するときに『率先して使った方が良いとは言わないけど、その解法しか思い付かなかったら書くしかないよね。』って教えてる。
別に間違った公式を使っているわけじゃないから採点者が\(\small{ \ 0 \ }\)点にするとは思えない。採点者は数学に詳しい人だろうから、高校で教わっていないから\(\small{ \ 0 \ }\)点ってするとは余計に考えにくい。
それに何も書けないぐらいなら書いて少しでも点数もらったほうがいいよね。
しかも大学受験者には一度大学に入学して辞めてもう一度受験する人だっているよね。理工系の学部を辞めて医学部再受験って人も今の時代多いと思う。そのパターンの人なら間違いなく大学で教わった解法も使うだろうしね。
だけど、整数の単元がなかった以前の教育課程でも整数問題は難関大学と呼ばれるような大学の入試問題では出題されていたんだ。
それを解くために合同式を教えてた学校もあったし、僕自身も教えてたからね。
終わりに
ここまで話した意見はあくまでも僕の意見で、大学入試で使って失敗したとか言われても責任取れないからね。
あくまで僕の意見。正解とは言ってないからね。
それに僕は学習指導要領範囲外を指導するとき、『受験で楽するため』に教えてはいない。
この生徒なら数学にもっと興味を持ってくれるかなって思ったときに教えてることが多いかな。
だからどこでどの公式や定理が使えるっていうのを確実に理解してくれる生徒にしか教えていない。
学習指導要領範囲をまだきちんと理解出来てない生徒に楽するためのテクニックとして教えても定理や公式が使えないところで使おうとしたりして、何も意味ないからね。
それだったら基本的なことを教えてる方がずっといい。学習指導要領範囲外を知らないと解けない問題っていうのはないはずだからね。
学習指導要領範囲外を考える前に、まずは基礎をしっかり固める勉強をしていこう。