こんにちは、リンス(@Lins016)です。
今回は複素数と図形(直線)について学習していこう。
複素数平面上の図形
複素数平面も座標平面と同じようにある条件式を満たす図形、つまり軌跡の問題ってあるんだ。
「軌跡」って聞くとなんか嫌な感じがするかもしれないけど、条件式が何を示しているか理解していけば問題ない。
図形と方程式の軌跡だって同じで、いろんな形があるけど、どんな条件式ならどんな軌跡になるのかをきちんと考えて解けば、答えは必ず導けるからね。
点\(\small{ \ \mathrm{A}\left(\alpha\right) \ }\)、点\(\small{ \ \mathrm{B}\left(\beta\right) \ }\)のとき、点\(\small{ \ \mathrm{P}(z) \ }\)の描く図形と方程式
線分ABの垂直二等分線
\(\small{ \ |z-\alpha|=|z-\beta| \ }\)
実軸
\(\small{ \ z-\overline{z}=0 \ }\)
虚軸
\(\small{ \ z+\overline{z}=0 \ }\)
方程式の表す図形
点\(\small{ \ \mathrm{P}\left(z\right) \ }\)の表す図形は\(\small{ \ z \ }\)を含む方程式が満たす点の集まりって考えることができるよね。
これが軌跡の考え方と同じなんだ。その上で複素数平面ではどんな方程式を書けば、どんな図形(軌跡)が描けるのか考える必要がある。
図形と方程式の軌跡っていうと直線、円、放物線だったよね。理系だとさらに楕円、双曲線が軌跡の答えに入ってくる。
今回は直線を表す方程式がどんな式なのか考えていこう。
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直線を表す方程式
直線と言えば、\(\small{ \ 2 \ }\)点からの距離が等しい直線、つまり\(\small{ \ 2 \ }\)点を結ぶ線分の垂直二等分線。これが複素数平面では一番よく出題される直線になる。
複素数平面では点\(\small{ \ \mathrm{P}\left(z\right) \ }\)と点\(\small{ \ \mathrm{A}\left(\alpha\right) \ }\)の距離は絶対値を利用して\(\small{ \ |z-\alpha| \ }\)って書くよね。
だから点\(\small{ \ \mathrm{A}\left(\alpha\right) \ }\)と点\(\small{ \ \mathrm{B}\left(\beta\right) \ }\)からの距離が等しい点\(\small{ \ \mathrm{P}\left(z\right) \ }\)は、
\(\small{ \ |z-\alpha|=|z-\beta| \ }\)
って書けるんだ。この点\(\small{ \ \mathrm{P}\left(z\right) \ }\)の集合が線分\(\small{ \ \mathrm{AB} \ }\)の垂直二等分線になるんだ。
だから\(\small{ \ |z-\alpha|=|z-\beta| \ }\)は線分\(\small{ \ \mathrm{AB} \ }\)の垂直二等分線を表す方程式になる。この形は確実に覚えておこう。
実軸に平行な直線の方程式
例えば実軸は\(\small{ \ i \ }\)、\(\small{ \ -i \ }\)の垂直二等分線って考えることができるから、実軸を表す方程式は\(\small{ \ |z-i|=|z+i| \ }\)って書くことができる。
でもこれ以外にも絶対値を利用せずに表す方程式もあるんだ。それは\(\small{ \ z-\overline{z}=0 \ }\)。\(\small{ \ z=x+yi \ }\)とすると\(\small{ \ z-\overline{z}=2y \ }\)になるから\(\small{ \ 2y=0 \ }\)から\(\small{ \ y=0 \ }\)。だから\(\small{ \ z \ }\)は実軸上にあるってことになるよね。
ちなみに\(\small{ \ z-\overline{z}=2i \ }\)なら\(\small{ \ y=1 \ }\)になるから、\(\small{ \ i \ }\)を通って実軸に平行な直線ってことになる。
だから「\(\small{ \ z-\overline{z}= \ }\)純虚数または\(\small{ \ 0 \ }\)」のとき、この方程式を満たす\(\small{ \ z \ }\)全体は実軸に平行な直線を描くことになるんだ。
ちなみに\(\small{ \ |z-i|=|z+i| \ }\)を整理すると
\(\small{ \ |z-i|^2=|z+i|^2 \ }\)
\(\small{ \ (z-i)\overline{(z-i)}=(z+i)\overline{(z+i)} \ }\)
\(\small{ \ (z-i)(\overline{z}+i)=(z+i)(\overline{z}-i) \ }\)
\(\small{ \ z\overline{z}+iz-i\overline{z}+1=z\overline{z}-iz+i\overline{z}+1 \ }\)
\(\small{ \ 2i(z-\overline{z})=0 \ }\)
\(\small{ \ \therefore z-\overline{z}=0 \ }\)
ってなって、絶対値を外した式を導くこともできるからね。
虚軸に平行な直線の方程式
次に虚軸は\(\small{ \ 1 \ }\)、\(\small{ \ -1 \ }\)の垂直二等分線って考えることができるから、虚軸を表す方程式は\(\small{ \ |z-1|=|z+1| \ }\)って書くことができる。
でもこれも絶対値を利用しないで表すと\(\small{ \ z+\overline{z}=0 \ }\)になる。\(\small{ \ z=x+yi \ }\)とすると\(\small{ \ z+\overline{z}=2x \ }\)になるから\(\small{ \ 2x=0 \ }\)から\(\small{ \ x=0 \ }\)。だから\(\small{ \ z \ }\)は虚軸上にあるってことになるよね。
さっきの実軸に平行な場合と同じように、実部と虚部を入れ替えて考えたらいいよね。
ちなみに\(\small{ \ z+\overline{z}=2 \ }\)なら\(\small{ \ x=1 \ }\)になるから、\(\small{ \ 1 \ }\)を通って虚軸に平行な直線ってことになる。
だから「\(\small{ \ z+\overline{z}= \ }\)実数」のとき、この方程式を満たす\(\small{ \ z \ }\)全体は虚軸に平行な直線を描くことになる。
ちなみにさっきと同じように\(\small{ \ |z-1|=|z+1| \ }\)を整理すると
\(\small{ \ |z-1|^2=|z+1|^2 \ }\)
\(\small{ \ (z-1)\overline{(z-1)}=(z+1)\overline{(z+1)} \ }\)
\(\small{ \ (z-1)(\overline{z}-1)=(z+1)(\overline{z}+1) \ }\)
\(\small{ \ z\overline{z}-z-\overline{z}+1=z\overline{z}+z+\overline{z}+1 \ }\)
\(\small{ \ 2(z+\overline{z})=0 \ }\)
\(\small{ \ \therefore z+\overline{z}=0 \ }\)
って導くこともできるからね。
次の方程式を満たす点\(\small{ \ z \ }\)全体は、どのような図形を描くか。
(1)\(\small{ \ |z-1|=|z-3i| \ }\)
(2)\(\small{ \ |z-2+i|=|z-i-2| \ }\)
(3)\(\small{ \ z+\overline{z}=4 \ }\)
(4)\(\small{ \ z-\overline{z}=4i \ }\)
(1)\(\small{ \ 2 \ }\)点、\(\small{ \ 1 \ }\)、\(\small{ \ 3i \ }\)を結ぶ垂直二等分線
(2)実軸
(3)点\(\small{ \ 2 \ }\)を通り、虚軸に平行な直線(または実軸に垂直な直線)
(4)点\(\small{ \ 2i \ }\)を通り、実軸に平行な直線(または虚軸に垂直な直線)
Point 複素数と図形(直線)
①\(\small{ \ |z-\alpha|=|z-\beta| \ }\)は垂直二等分線
②\(\small{ \ z-\overline{z}= \ }\)純虚数または\(\small{ \ 0 \ }\)は実軸に平行な直線
③\(\small{ \ z+\overline{z}= \ }\)実数は虚軸に平行な直線